一流に学ぶ 人工股関節手術の第一人者―石部基実氏

(第7回)外来はクリニック、手術は病院=欧米流で開業へ

 ◇ついて来てくれた患者

 股関節の手術だけを専門に行う開業スタイルで経営が成り立つかどうか、正直なところ見当が付かなかった。リスクを回避のため、クリニックでは一般的な整形外科の外来診療も行い、自分の生活費だけは確保するつもりでいたという。

 NTT東日本札幌病院 を辞める時、手術を予約している患者に「開業して違う病院で手術します。もちろん予約をやめてもいいですし、違う病院で手術を受けてもいいです」と知らせた。反応は、全員が石部氏について行くというものだった。石部氏は「股関節の手術一本に絞って開業しよう」と決意した。

 ◇他の医師もうらやむ

 通常、外科医が開業すると手術は諦め、外来診療だけに絞るケースが多い。時には、内科や眼科など他の診療科に標榜科目を変えることすらある。しかし、このスタイルなら開業資金も抑えられ、自分の専門分野をそのまま続けることができる。

 「他の外科の医師からも『先生みたいな形態が一番いいな』とうらやましがられます。病院の理事長と合わなくて病院を辞めてしまい、転職した病院では全く手術ができないという医師もいましたから」

 2008年3月、札幌市南区真駒内に人工股関節手術を専門とする「石部基実クリニック」を開業した。

(ジャーナリスト・中山あゆみ)

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