一流に学ぶ 心臓カテーテルのトップランナー―三角和雄氏
(第12回)
必要なのは腕「ラーメン店と同じ」
患者へ情報提供、携帯番号も
米国の病院が患者教育を積極的に行うのは、ごく当たり前のことだ。特に医療費が高く、自己破産の原因にもなる米国では、正しい医療情報を持つことが自分の身を守るためには欠かせない。心筋梗塞は、発作が起きてからでは手遅れになることもある。早めに受診に結びつけるためには、広く地域住民が病気を正しく理解しておくことが不可欠だ。
救急搬送された患者は断らない、外来ではどんなに診察時間が延びても最後まで診る。三角氏の診察を受けるため、病院に来る患者の待ち時間は必然的に長くなった。「外来は以前、月曜日だけでしたが、近くのホテルを予約して泊まりがけで来院したり、整理券を取るために日曜日の夜から病院のロビーで寝袋に寝ている患者さんもいました。さすがにそれはまずいということで、外来日を増やしました」
講演会資料にも、「ご帰宅時間が午後9時~深夜1時になる場合もあります」と断り書きがある。患者はそれを覚悟の上でやって来るという。
「要はラーメン店と同じ。うまけりゃ待たされても人が来る。門構えで人が来るわけじゃないですよね。病院を建て替える前はかなりボロでしたが、それでも日本一になりました。要するに治療成績が悪ければ誰も来ません。症例数が増えると、腕も上がる。どんなトラブルにも対応できる。これまで医療訴訟になったことも一度もありません。量が増えれば質は上がるんです」
三角氏はさらに、「東京女子医大心臓血管外科主任教授の新浪博士医師(サントリーホールディングの新浪剛士社長の実弟)が『医療の質と量は相関する』と言っていますが、米国の学会でも手術数の多い施設、医師の方が成績が良いと証明されています。逆に医療は量より質だと言う人もいるが、それは単なる負け惜しみ。量のないところに質などあるわけがないんです」と語った。(ジャーナリスト・中山あゆみ)
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(2018/04/03 10:00)