一流に学ぶ 心臓カテーテルのトップランナー―三角和雄氏

(最終回)
不思議なほど折れない心
ブランド物に興味なし

 「世の中に簡単な手術はない」と三角氏は言う。毎年3000例のカテーテル治療をすべて無事に成功させるには、一瞬の油断も許されないと身を引き締める毎日だ。

 「『簡単』と言えば油断してしまう。難しいと思っている方が意外と合併症が少ない。用心しますから。何事も慎重に構えないと。決して横着と油断はいけない」

 しかし、張り詰めた毎日が続くと、さすがにストレスもたまるだろう。

 「天職なので全く苦にならないですね。それに僕は自分で言うのもなんですが、心折れないんです。自分でも不思議だけど、大変なことがあっても2、3年後には笑っているだろうと思える。もうやめた、嫌だって投げ出すということを一回もしたことがない」

 平日深夜と日曜朝の週2回、ジムで身体を鍛えるぐらいで、自分の時間は特にない。再婚した妻との間に1歳、3歳、6歳の娘がおり、家では子どもたちとの時間が癒やしになっているという。仕事中、『おとうさまとわたしは、とてもきがあいますね』と長女のメッセージが記載されたタンブラーカップを、うれしそうに持ち歩いている。

 病院のコストには注意を払うが、ブランド物には一切興味はない。腕時計は父親の形見で6000円程度。「ボロボロだったのでゴミ箱に捨てたら、不思議なことに自分の時計が動かなくなった。拾ってまだ使っています。おやじが『捨てるな』と言ってる気がして」。高級車にはもともと興味がなかったし、車は運転すると居眠りして危険なので、ずいぶん前に手放した。

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