女性アスリート健康支援委員会 月経の悩み、ありませんか
「ピルでコントロール」も選択肢に
中高生のつらい月経痛、不妊リスク減らすメリットも
◇子宮内膜症も心配、将来の予防に
低用量ピルを服用し、月経をコントロールすることには、月経困難症の患者の多くが抱える「子宮内膜症」の進行を、抑えるメリットもあります。
受精卵の着床のために厚くなった子宮内膜がはがれ落ち、出血とともに体外に出るのが「月経」です。子宮内膜症は、はがれ落ちた内膜が逆流して子宮以外の場所(卵巣など)で増殖(ぞうしょく)してしまい、炎症や癒着(ゆちゃく)などを引き起こす病気。「症状が進むと、妊娠する力が落ち、3割から5割の人は妊娠しにくくなる」(百枝先生)といわれています。
昔は女性が25歳ぐらいまでに結婚して子供を産むのがふつうでしたが、今は晩婚化が進み、女性の第1子出産時の平均年齢が30歳を上回っています。そのため、出産までの月経回数が増えたことが、子宮内膜症の患者の増加につながっています。
百枝先生はこうしたライフサイクルの変化の影響も踏まえて、「つらい月経困難症が続けば、子宮内膜症が進むという前提で、若いうちから低用量ピルで月経をコントロールした方が、将来の妊娠のためにはむしろ有利です」と説明します。
月経に伴うつらい症状としては、月経前症候群(PMS)や過多月経もあります。こうした症状が日常生活に来すほどひどい場合にも、低用量ピルの服用による月経コントロールが有効だと、百枝先生は指摘します。
PMSでは月経前に下腹部の痛みや乳房の張り、精神的にイライラが募るといった症状があり、対人関係にも影響が出る場合があります。過多月経では、夜用ナプキンを1~2時間に1回交換する必要があるほど出血量が多い場合があり、貧血にもつながります。
「月経を自分でコントロールできると、勉強やスポーツで本来の力が発揮できます。それは、将来、社会に出て仕事をする時にも、同じように役立ちます。なおかつ、妊娠する力も落ちません。産婦人科医の受診には抵抗感があるかもしれませんが、早めに受診して必要な対応をした方がよいでしょう」と百枝先生は話しています。(水口郁雄)
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(2019/04/27 09:47)