ダイバーシティ(多様性) 当事者が見た色覚特性のキラキラした世界

補正レンズ選択に難しさも
~日常生活用なら色合い抑え目~ 【第3回】

 ◇劣等感拭い去り、自分の目を好きに

 これまで勤務した眼科でも眼鏡店でも何度となく色覚特性の人と話しましたが、自身についてきちんと説明できる人は多くありません。自分のコンプレックスにつながりそうな部分を突き詰めて調べ、理解するのは結構ハードだと思います。私の長所はポジティブなところです。人によってはハードに感じるかもしれないところを、ただ好奇心で突き詰め、それが自分や他の人のためになったのはとてもラッキーなことです。この仕事をやっていて良かったと思える職業に就けたのもラッキーです。色覚特性を持っていなければ、今この文章も書いていないし、涙も流していません。

 これは色覚特性に限りません。例えば眼鏡を嫌だと感じている人は多いようです。重い、煩わしい、目が小さくなる、格好悪いなど、コンプレックスはいろいろあると思います。そのネガティブな感覚をできる限りポジティブなものに変えるお手伝いをしたい。今回はその使命が果たせた一件でした。色覚特性の人も自分の目を好きになれるよう、今後もたくさん情報発信していきます。

 次回は手前みそながら私の話をします。これまでに何度か触れた、私と色覚を結び付けた「絵の具事件」についてです。(了)

 〔お断り〕この連載では、文章の趣旨を的確に伝えるため、現在は使用を控えるようになった「色盲」「色弱」という言葉を必要に応じて用いています。

 長瀬 裕紀(ながせ・ゆうき) 1級眼鏡作製技能士。過去に量販眼鏡店に就職するも勉強不足を痛感。修行のため眼科コメディカルとして10年弱勤め、年間3500人以上の目のケアに携わる。認定眼鏡士SS級のプロとして現在は吉祥寺の眼鏡店(グラストリーイカラ https://www.g-ikara.jp/)で勤務し、2022年度から始まった国家資格「眼鏡作製技能士」の試験に合格した。自身の体験談を踏まえた色覚特性のブログが人気を博し、数多くの問い合わせや相談が寄せられている。

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