白井將文 医師 (しらいまさふみ)

博慈会記念総合病院

東京都足立区鹿浜5-11-1

  • 泌尿器科
  • 顧問、非常勤医師

泌尿器科

専門

泌尿器科学、アンドロロジー(男性科学)

白井將文

ED(勃起機能障害)など性機能障害(SD)研究のスペシャリスト。1960年代から研究に取り組み、勃起のメカニズム解明や治療法の確立、最近ではEDと肥満や心疾患の関連について調査するなど、わが国のSDの研究・治療を率先してきた。EDでは現在、経口治療薬の投与が主流となる中、薬の効果が期待できない患者や治療薬が使用できない患者の診療にも、積極的に取り組んでいる。また、高齢化社会におけるED治療の重要性を訴え、パートナーとの充足した性生活を維持するための医療の実現を目指している。

診療内容

診療科の概要…同院の泌尿器科は、前立腺肥大症や過活動膀胱、尿路感染症などの良性疾患から腎がんや前立腺がん、膀胱がんなど悪性腫瘍の治療まで対応。治療に際しては、日本医科大学付属病院と緊密な連携をとり、患者に最も適した医療を提供している。また、木曜日午後には予約制で、男性性機能障害、男性更年期障害、男性不妊症を専門に診療するリプロダクション外来(木曜午後のみ、完全予約制)も開設している。
SD・EDを取り巻く状況…「ED(erectile dysfunction)=勃起機能障害」は、十分な勃起が得られない、あるいは勃起が維持できないために、満足な性交ができない状態を指す。一方、性欲、勃起、性交、射精、オーガズムのいずれか一つ以上が欠けるか不十分なものを「SD(sexual dysfunction)=性機能障害」と定義されているので、EDはSDの中の一つと言える。
現在、日本のED有病率は39%で世界的にもずば抜けて高い。高齢化が進んでいるためと考えられ、今後人口の高齢化が進めば、さらに患者が増加することが予想される。また、糖尿病などの生活習慣病を患う人が増えることで、ED患者も増加すると考えられている。男性糖尿病患者を対象としたEDの実態調査によると、軽症以上のED有病率は実に90%にも及んでいる。また、心冠動脈より陰茎海綿体動脈のほうが圧倒的に細く、動脈硬化の症状が心臓より先に陰茎に起こって来ると考えられている。実際に狭心症発作が起こる約3年前に67%の患者がEDを既に自覚していたという報告もある。これまでEDで医療機関を受診する人はわずか4.8%と少なく、放置していても命に別状ない病気と考えられて来た。しかし、さまざまな研究により、命と直結する病気の第一症状として現れている可能性が高いことが判ってきたのだ。
問診…EDの診断・治療は、日本性機能学会「ED診療ガイドライン2012年版」に従って行われる。まず外来の待ち時間を利用してED問診票の「国際勃起スコアー5(IIEF5)」の他に、うつ傾向の有無をチェックする質問紙(東邦大式SRQ-D)、ノイローゼ傾向を調べる「CMIテスト」、不安傾向を調べる「MASテスト」の3種類の簡易心理テストに記入する。他の病気と同様にEDの場合も問診からスタートし、診察室は外部から見られたり声が漏れたりしないように配慮されている。問診では、勃起に関係があるような病気(糖尿病、前立腺がんや直腸がんの根治手術など)の既往がないか、勃起力を弱めるような薬(向精神薬など)の服用がないかなどについて、きちんと確認される。
診察…問診が終わると診察に移り、外陰部の診察の後、血圧の測定、血液一般検査と生化学的検査が行われる。また内分泌性EDを鑑別するために、ホルモン(性腺刺激ホルモンや男性ホルモン)の測定も行われる。次に同院の場合は、勃起を起こすのに最も重要な働きをしている血管内皮の機能を知る非侵襲的検査法である「血流依存性血管拡張能(flow mediated dilation:FMD)」テストを上腕動脈及び陰茎海綿体動脈で行い、十分な拡張能が得られない場合は、プロスタグランジンE1(PGE1)を陰茎海綿体に注射して左右陰茎海綿体動脈の収縮期最大血流速度(PSV)が計測され血管の状態がより明らかにされる。このPGE1テストで異常値が認められれば、より詳細な検査が必要になるが、ほとんどの場合は上記の検査で治療へと進む。
治療…ED治療の第一選択は、経口ED治療薬のホスホジエステラーゼタイプ5(PDE5)阻害薬である。使用する場合は硝酸薬や一酸化窒素供与薬(併用禁忌事項)の使用が無いことがきちんと確認される。また、ていねいに使用上の注意が説明され、服用法を記載したパンフレットが手渡され、服用前に必ず読むように指導される。ただし、心疾患などが疑われる場合は、循環器内科に紹介され、専門医の判断を受けることになる。
PDE5阻害薬が使用可能な患者にはこの薬を投与され、十分効果が得られればそのままこの薬による治療を継続される。しかしこの薬が使用できない患者や薬に効果が得られない患者で、PGE1テストで効果が見られた症例にはPGE1自己注射が薦められ、これらの治療法でEDの殆どの症例が治療可能である。上記の診断法や治療法は十分な基礎的研究や臨床試験を経て行われており、安全性についても心配はない。白井医師は言う。「われわれがEDの診療に際して常に心掛けているのは、単に陰茎を勃起させれば良いということではなく、パートナーを含めていかに満足して頂けるかということです。勃起や性行為に悩みがあるときは、一人で悩んでいないで、気軽にED専門医に相談してください」

医師プロフィール

1960年3月 東北大学医学部 卒業
1965年3月 東北大学大学院終了
1983年4月 東邦大学医学部教授
1998年3月 東邦大学定年退職、東邦大学名誉教授
1998年4月 一般財団法人 博慈会顧問