医師の紹介
診療内容
「性機能障害の検査で陰茎の血流検査をすると、血流が悪く動脈硬化が進んでいるというケースがかなりあります。これは陰茎の血管は直径が1~2ミリと細く、人間の体の中でも動脈硬化の影響が出やすい部分だからだと考えられます。ようするに、EDになっている人は心血管疾患にかかる確率が高く、心筋梗塞や脳梗塞になる危険性があるということです」
実際にアメリカでの調査では、性機能障害がある人は、ない人に比べて心筋梗塞を起こす割合が1.8倍高かったという調査報告がされている。そのためEDを発症した場合は、動脈硬化や心疾患などの検査をおこなうことを勧めると佐々木医師は言う。そしてEDを発症する人は近年になって増えており、年齢も必ずしも高齢とは限らないのが特徴だそうだ。
「実際に受診されるED患者さんは、30代後半から40代前半あたりの若い世代も少なくありません。そして、もちろん50代後半から60代前半にかけての世代も受診されます。この2つの世代が多いです。しかし、日本ではEDの受診率はまだまだ低いのが現状で、全体の9%程度だと推計されています。さきほどお話しした心血管疾患のリスクもありますので、ぜひ受診して検査を受けて欲しいと思うのと同時に、受診しやすい体制もつくらなければと思います」(佐々木医師)
同院を訪れる患者を検査しても、中高年層の場合、EDの症状があれば多くは血糖や血中脂質、血圧に異常が認められるという。動脈の硬さを調べても、同年齢の平均よりも硬くなっているそうだ。では、そもそもEDはどうして起こるのだろうか。
「原因はさまざまで、生活習慣病や不規則な生活スタイル、睡眠不足、食事内容、運動不足、うつ病などの精神疾患、過度のストレス、性欲のなさなどが考えられます。問診や検査などを重ねて原因を探り、診断と治療方針を決定していくのですが、現在多く使われているのがPDE5阻害剤による治療です。錠剤の飲み薬で、使いやすいこともあり、ED治療を大きく進歩させた薬と言えます」(佐々木医師)
しかし、PDE5阻害剤について誤解されていることが多いと、佐々木医師は言う。
「PDE5阻害剤のことを勃起を起こす薬だと思っている人が多いのですが、これは間違いです。勃起を助ける薬です。たとえば性欲もわいていないのに勃起することはありません。また薬が効いている間、ずっと興奮し続けるわけでもありません」
PDE5阻害剤のよいところは、心因性のEDであっても、マスターベーションが可能であれば、神経や血管は反応するため、効果が期待できるということだ。佐々木医師によれば、薬を使うことで何度か成功して不安が消えると、心因性EDは完治することが多いという。さらに、現在は3種類のPDE5阻害剤があり、患者の生活にあわせて選ぶのが一般的になってきている。
「今では食事の制限がないタイプもあり、飲酒もリラックスできる程度であれば問題ありません。薬の効果も36時間程度と長くなっています」
このようにED治療は以前に比べて格段の進歩をとげている。それらを含めて正しいEDの知識を知っていただきたいと、佐々木医師は語る。
医師プロフィール
2007年4月 昭和大学藤が丘病院泌尿器科准教授
2012年6月 昭和大学藤が丘病院泌尿器科 教授
2013年4月 昭和大学藤が丘病院 副院長
「ED(性機能障害)」を専門とする医師
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天野俊康 医師 (あまのとしやす)
長野赤十字病院
第1泌尿器科 部長
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木元康介 医師 (きもとやすすけ)
労働者健康福祉機構 総合せき損センター
泌尿器科 部長
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佐藤嘉一 医師 (さとうよしかず)
三樹会病院
泌尿器科 院長
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白井將文 医師 (しらいまさふみ)
博慈会記念総合病院
泌尿器科 顧問、非常勤医師
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髙橋悟 医師 (たかはしさとる)
日本大学医学部附属板橋病院
泌尿器科 副病院長 部長
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永尾光一 医師 (ながおこういち)
東邦大学医療センター大森病院
リプロダクションセンター(泌尿器科) センター長
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久末伸一 医師 (ひさすえしんいち)
順天堂大学医学部附属順天堂医院
泌尿器外科 准教授
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松木孝和 医師 (まつきたかかず)
松木泌尿器科医院
泌尿器科、性病科 院長
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丸茂健 医師 (まるもけん)
まるも腎・泌尿器科クリニック
院長