須佐美隆史 歯科医師 (すさみたかふみ)

東京大学医学部附属病院

東京都文京区本郷7-3-1

  • 顎口腔外科・歯科矯正歯科
  • 准教授

歯科口腔外科 矯正歯科 歯科

専門

矯正歯科(顎変形症)

須佐美隆史

口唇口蓋裂、鰓弓症候群などの著しい顎の異常を持つ先天異常患者に対して矯正歯科治療を行う専門家である。先天的・後天的原因、成長異常による顎変形症の治療も得意とする。顎変形症では矯正歯科治療を地域の医院が担当し、顎矯正手術計画の立案や手術前後のケアを同科で行うことも多い。他大学・病院から依頼される患者も多く、矯正歯科・口腔外科がチームを組んで共同で治療を行っている。また顎骨骨折、顎骨腫瘍の手術前後の咬合管理にも大いに手腕を発揮している。

診療内容

顎変形症や頭蓋顎顔面の先天異常ではチーム医療が不可欠であるが、同科では口腔外科医と矯正歯科医が共同で顎矯正手術を用いた外科的矯正治療を行っている。
須佐美歯科医師は「頭蓋顎顔面の先天異常の中で最も多いのは口唇裂・口蓋裂です。乳児期に口唇裂・口蓋裂の形成手術を行いますが、それに先立ち鼻口唇・顎形態を矯正することを術前顎矯正治療といい、当科ではNAM(nasoalveolar molding plate)を用いています。形成術後の乳幼児期は言語治療に重点を置き、最初の咬みあわせの検査は5歳頃に行うのが一般的です。多くの場合、患者は上顎成長障害による反対咬合(受け口)を示し、前歯が永久歯となる7~9歳から矯正歯科治療を始めることが多くなっています。永久歯が生えそろうまでの間は、上下顎の関係を良くする顎矯正治療に重点を置くことが多く、本格的な矯正歯科治療は永久歯が揃ってから行います。咬みあわせは顎の成長のある間は変化するので、歯科矯正治療が終わっても、成長が終了するまでは観察が必要です。上下顎のバランスの著しく悪い症例では、顎矯正手術が必要となります」と話す。
「鰓弓症候群(鰓弓由来器官の形成不全による顎顔面の先天異常)では、顔面の非対称、下顎後退にともなう上顎前突・開咬(前歯が咬み合わない)・叢生(歯の一部が重なり合って生えている状態)が問題となります。年少期に顎矯正手術を行うと、成長とともに効果が消失しがちであることが明らかとなり、現在は思春期成長スパート後に手術を行うことを基本にしています」と須佐美歯科医師。
顎変形症の治療については、すべてを同科で行う場合のほか、矯正歯科治療は地域の医院で行い、顎矯正手術計画の立案や顎矯正手術前後のケアを同科で行うという症例も増えている。「近年、顎変形症の手術は安全・確実に行えるようになってきました」と須佐美歯科医師は言う。
そのほか、頭蓋骨折や歯の脱臼などの外傷についても、矯正歯科医が口腔外科医とともに治療に当たっている。また成長期の患者の腫瘍においても、放射線治療の影響による成長障害や、切除手術後の拘縮の問題に対して対応している。
「日本では矯正歯科治療は自由診療で行うもので、主な目的は美的なものと捉えられがちで、医療として十分認められていないように感じます。しかし、顎変形症の患者さんでは不正咬合により良く咬めないだけでなく、しゃべりにくい、呼吸しにくいなどの症状を示し、顔貌の異常から社会心理的な問題も起こします。顎矯正手術と歯科矯正治療を計画的に行う外科的矯正治療については健康保険が適用されます。近年、口唇裂・口蓋裂をはじめとする先天異常についての保険適用の範囲が広がってはいますが、まだ不十分です。矯正歯科治療がさらに医療として広く認知されることを望んでいます」と須佐美歯科医師は話している。

医師プロフィール

1981年3月 東京医科歯科大学歯学部 卒業
1985年3月 同 歯学研究科修了(矯正歯科学)
    7月 同 歯科矯正学第二講座助手
1993年4月 東京大学保健管理センター・医学部口腔外科学講座講師
1996年8月 同 医学部口腔外科学講座助教授
1997年7月 同 大学院医学系研究科 感覚・運動機能医学講座助教授
2002年10月 連合王国・マンチェスター大学歯科医院 Visiting Academic
2007年4月 東京大学大学院医学系研究科 感覚・運動機能医学講座准教授