栢森良二 医師 (かやもりりょうじ)

帝京大学医学部附属病院

東京都板橋区加賀2-11-1

  • リハビリテーション科
  • 客員教授

リハビリテーション科

専門

脳卒中、顔面神経麻痺、末梢神経障害などを中心とするリハビリテーション医学

栢森良二

顔面神経麻痺など、「顔面」に関連する神経生理学的診断・治療、およびそのリハビリテーションに精通する栢森良二医師。病気のメカニズムや原因を踏まえ、いかに後遺症を残さないかに主眼を置いた治療・リハビリテーションをめざしている。1960年前後に起きたサリドマイド事件におけるサリドマイド胎芽病患者について、厚生労働省科学研究班では中心メンバーとして研究に関わってきたことでも知られる。現在は同大学医学部附属病院で診療を行うほか、帝京平成大学健康メディカル学部教授も兼任する。

診療内容

ある日突然、目が閉じない、飲み物が口からこぼれる、口笛が吹けない、こうした症状が起きると、顔面神経麻痺が疑われる。脳卒中と違って顔面だけに麻痺が現われ、手足には異常が出ないのが特徴だ。

顔面神経麻痺は、病院で治療を受けなくても自然に回復することがあるが、重度の場合や、診断・治療が遅れた場合には後遺症が残ることがある。そのため、顔面の筋肉に異常を感じたら、できればその日のうちに耳鼻咽喉科を受診し、早期から後遺症を予防する取り組みが必要だ。

顔面神経麻痺の治療は、薬物療法とリハビリテーションの2つを中心に進める。中でも、栢森医師が専門としているのはリハビリテーションだ。「リハビリテーションにおいては、強く大きく表情筋を動かさないこと、そして表情筋をストレッチさせることが大切です。後遺症が出始める4カ月までが特に重要で、リハビリテーションはなるべく早く開始する必要があります。ただし、あまり激しく顔の筋肉を動かしすぎると、麻痺が軽減したとしても、後になって後遺症が残ることもあるので注意してください」。リハビリテーションとあわせて、薬物療法ではウイルスの増殖を抑制する「抗ウイルス薬」と、炎症による浮腫を抑えるための「ステロイド薬」を用いる。

顔面神経は、1日につき1mm程度のペースで再生していく。しかし、神経が再生する中で、誤って別の部分につながる“迷入再生”が起こることがある。「迷入再生とは、電線でたとえるなら、顔面神経の線維である「電線」が断裂してしまった後、うまく修復できずに別の神経につながる「混線」が起きる状態です。迷入再生を防ぐためには、神経再生の過程で無理に負担をかけるような運動を控える必要があります」(栢森医師)。

最近では、筋肉を緊張させる神経の働きを抑制する「ボトックス療法」も治療の選択肢に加わった。「ボツリヌス菌から毒素を抽出して顔面に注射すると聞いて怖がる人もいますが、世界中で用いられ、日本でも健康保険が適用されている安全な治療です。ボトックス療法は、慢性期の患者さんで、発症後1年以上が経過した人に対して行われています」(栢森医師)。

顔面神経麻痺においては、正しい治療と正しいリハビリテーション、この2つが欠かせない。これにより、生き生きとした笑顔を取り戻してほしい、と栢森医師は話す。

医師プロフィール

1974年 新潟大学医学部卒業、米国横須賀海軍病院にてインターン
1975年 新潟大学医学部整形外科教室で研修医
1976年 東京都老人医療センター(養育院附属病院)リハビリテーション科レジデント
1979年 テキサス大学サンアントニオ校リハビリテーション科で臨床フェロー修了
1980年 アイオワ大学神経内科で臨床フェロー修了
1981年 新潟県立六日町病院リハビリテーション科医長
1989年 帝京大学医学部リハビリテーション科講師
1995年 帝京大学医学部リハビリテーション科助教授
2008年 帝京大学医学部リハビリテーション科教授
2015年 帝京平成大学健康メディカル学部教授、帝京大学医学部リハビリテーション科客員教授