胃内異物〔いないいぶつ〕 家庭の医学

 乳幼児や高齢者が、誤って異物を飲み込んでしまうことがあります。異物としては針、入れ歯、薬剤の包装パック、硬貨、ボタン電池などがあります。
 のどを通って食道に入ると解剖学的にひっかかりやすい場所がいくつかあり食道にひっかかることもありますが、いったん胃の中に入った異物の90%は肛門から便とともに自然排出するといわれています。しかし、胃の中にひっかかり長期間停滞している場合や、ボタン型アルカリ電池のように放置すると胃の粘膜が傷害されるおそれのある場合は、内視鏡でこれを取り出します。
 乳幼児が異物を誤って飲んだときは親は動揺してしまいがちですが、異物が呼吸の通り道である気管に入ったのか、食べ物の通り道である食道・胃に入ったのかで治療の緊急性は大いに異なります。気管に入った場合は呼吸を確保するために一刻を争いますが、食道・胃内に入った場合には、さほどの緊急性はないので、まず呼吸を十分におこなっているかどうかをすみやかに確認してください。

(執筆・監修:順天堂大学大学院医学研究科 教授〔食道胃外科〕 梶山 美明)
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