皮膚病治療上の注意

 皮膚病には、がんこで、治りにくいものが少なくありません。湿疹やじんましんをはじめとするありふれた病気にも、この傾向がみられます。そこで、実際に治療にあたって注意しなければならないことを知っておくことも、けっしてむだではないでしょう。
 1.まず、可能な限り原因をはっきりさせることが大切です。原因がわかれば、それを除く、あるいは避けることで治療することができます。原因のわかる場合の多くは、外からの刺激などで起きているときです。
 原因を知るには、第1に発疹(ほっしん)の出る前の生活状況や薬の使用歴、からだに接触した可能性のある物質や食事の内容を思い起こすことが大切です。思わぬ外来性の物質が原因になっていることがあります。
 第2に、皮膚病変の発生部位をよく見ることです。外部の刺激がおもな原因のときは、直接刺激を受けた皮膚の場所だけにできます。いっぽう血流を介して生じる中毒、アレルギーがおもな原因のものでは、全身に左右対称にあらわれてきます。
 第3に、軟膏(なんこう)療法で一時よくなってもやめるとすぐ再発し、軟膏療法でまた軽快するといったことをくり返す場合は、一時的な外的因子のみが原因ではないと考えられます。
 2.皮膚病が治りにくい原因の一つに、外からのいろいろな刺激があります。アトピー性皮膚炎では、夜間就寝中にかゆいために皮膚をかいて悪化させてしまうことがよくあります。外的刺激によって、いつのまにかはじめと違った別の病気に変わり、または新たに別の皮膚病が加わることもあります。たとえば、湿疹のようにかゆい皮膚病では、ひっかいているうちに、細菌が感染して、“とびひ”を併発します。特に夏の小児湿疹ではこれが目立ちます。この事実を知らないで、いつまでも湿疹の治療だけを続けていたのでは、治らないばかりか、かえって“とびひ”がひろがる結果になります。
 3.皮膚病ではかゆみが出てきて、私たちを苦しめます。かゆみは皮膚病の特徴の一つといってよいかもしれません。このかゆみをうまくコントロールすることが、皮膚病治療の一つのポイントです。
 4.皮膚病には、体質(遺伝的素因)と関係があって、治りにくいものがあります。アトピー性皮膚炎などがこれに相当します。このときは、適切な対症療法(病気の治療というより病気の症状の軽減のための治療)を続けて、自然に治る時期を待つことも大切になってきます。またホルモンの影響で皮膚病変が生じ、一定年齢までは治りにくいものもあります。にきびがそのよい例です。遺伝性疾患の多くは根本的治療は困難です。対症療法を根気よく続ける必要があります。
 5.皮膚病は自分の目で病変を見ることができるため“しろうと療法”をしがちです。しかし、安易な“しろうと療法”は間違いのもとであり、病気を長びかせ、悪化させてしまいます。そのような状態で専門医を訪れても、治療による病像の変化が正確な診断を妨げることもあります。皮膚科専門医をできるだけ早く受診することが大切です。