成人成長ホルモン(GH)分泌不全症〔せいじんせいちょうほるもん(GH)ぶんぴつふぜんしょう〕
成長ホルモン(GH)は名前のとおり成長に関与しますが、それだけでなくたんぱく、糖、脂質、骨、水電解質代謝など多様な作用を示します。GH分泌は加齢に伴い減少しますが、成人でも分泌されています。成人でGHが欠乏すると体組成の異常(体脂肪増加〈内臓脂肪型肥満〉、筋肉量低下、骨量減少など)、代謝障害(脂質異常、耐糖能異常、脂肪肝、動脈硬化症など)およびQOL(quality of life:生活の質)低下を示します。このような症候がGHを補うことにより改善されることが示され、わが国では2006年4月から成人GH分泌不全症に対してGH治療がおこなわれています。
(執筆・監修:東京女子医科大学 常務理事/名誉教授 肥塚 直美)