下垂体前葉機能低下症〔かすいたいぜんようきのうていかしょう〕 家庭の医学

 下垂体前葉ホルモンの分泌が低下した状態です。下垂体前葉ホルモンの1つが障害(単独欠損症)、複数が障害(複合型下垂体機能低下症)、すべてのホルモンが障害される場合(汎下垂体機能低下症)とがあります。

[原因]
 視床下部に障害がある場合(視床下部性)と、下垂体自体に障害がある場合(下垂体性)があります。視床下部性の場合、視床下部ホルモンの合成や下垂体への運搬が障害されて下垂体前葉ホルモンの分泌が低下します。視床下部の腫瘍、特に胚細胞腫や頭蓋咽頭腫(ずがいいんとうしゅ)が代表的で、下垂体後葉の抗利尿ホルモン(ADH)の分泌も障害されて尿崩症(にょうほうしょう)を合併することがしばしばです。
 下垂体性の場合は、下垂体腫瘍、下垂体腫瘍に対する手術、放射線治療、シーハン症候群(出産時の大出血で下垂体組織に梗塞が起こる結果、下垂体組織が破壊される)、下垂体炎(下垂体の自己免疫性炎症)、髄膜(ずいまく)炎の後遺症などが考えられます。原因のわからない(特発性)ものも少なくありません。
 なお、分娩(ぶんべん)時にさかごで生まれた赤ちゃんの場合には、分娩時に下垂体茎が切断されるために下垂体機能低下症になることがあります。

[症状]
 障害ホルモンの種類や原因疾患によって異なります。腫瘍が原因の場合には頭痛、嘔吐(おうと)、視力低下、視野障害、精神症状なども起こります。

(執筆・監修:東京女子医科大学 常務理事/名誉教授 肥塚 直美)
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