腸チフス〔ちょうちふす〕

 チフス菌(Salmonella Typhi)による感染症で、主病変は腸管に生じますが、菌は血液中に入り、全身感染症に発展します。
 感染経路は経口感染で、水や食べ物、手指を介して感染します。東南アジア、中南米、アフリカに多いので、これらの地域に旅行する人は十分な注意が必要です。有効なワクチンがありますが国内では未承認ですので、渡航外来などで接種できるかどうか相談するとよいでしょう。
 潜伏期は7~14日で、帰国後、発病することも少なくありません。日本での患者数は近年減少傾向にあり、最近はパラチフスとあわせて毎年100人前後で推移しており、その80%が海外からのもち込みによるものです。
 症状では体温が数日かけて、階段状に徐々に上昇します。その後、高熱(39~40℃)が持続します(稽留〈けいりゅう〉熱)が、そのわりに脈拍が速くならない(100/分以下)のが一つの特徴です。バラ疹と呼ばれる発疹(ほっしん)や、脾臓(ひぞう)がはれるなどの症状がみられることもあります。
 下痢は半数以下にしかみられず、便秘のこともあります。発症してから第2週目が極期で意識障害がみられます。回復期に腸に潰瘍ができ、出血したり、孔があく(腸穿孔〈せんこう〉)を起こすことがあるので油断できません。
 治療にはキノロン系薬、第三世代セファロスポリン系薬(セフトリアキソンなど)、ペニシリン系薬(アンピシリン、アモキシシリン)、などが使われます。
 なお、症状が出ずに保菌していることがあります(健康保菌者)。健康保菌者のほとんどは胆嚢内に保菌しており、胆石や慢性胆嚢炎に合併することが多く、永続保菌者となることがあります。
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