その他の自家組織移植 家庭の医学

 欠損した組織に応じてさまざまな組織を移植します。皮膚と同様に、自家組織が用いられます。

■骨移植
 顔面骨骨折、顔面悪性腫瘍の切除後、口唇口蓋裂などの疾患に対して用いられます。
 欠損の形状や大きさに合わせて、頭蓋骨、肋骨、腸骨などから採取します。

■軟骨移植
 耳の先天性疾患や鼻の手術に用いられます。耳介(じかい)、肋軟骨などから採取します。

■脂肪移植(脂肪注入)
 体表の陥凹(かんおう)変形や乳房再建に対して用いられます。注射器のような器具で本人の脂肪を採取して、変形した部位に注入する脂肪注入が代表的な方法です。
 脂肪注入は簡単な方法ですが、移植された脂肪は吸収されて、脂肪壊死や石灰化などの合併症を起こすことがあります。この欠点を補うために、近年では脂肪(由来)幹細胞など再生医療の技術が応用されています。

(執筆・監修:埼玉医科大学 教授〔形成外科・美容外科〕 時岡 一幸)