骨・関節・末梢神経の病気 家庭の医学

■頸肩腕症候群(肩こりを含む)
・筋肉質で体格がよく、くびのうしろから肩甲骨までがつっぱってこる人には葛根湯(かっこんとう:陽・実)を用います。
・肥満してくびが短く、肩口からくび筋までの筋肉全体がこり、わき腹の筋肉も緊張してかたい人には大柴胡湯(だいさいことう:陽・実)を用います。
・胃腸虚弱がある人では二朮湯(にじゅつとう:陽・虚)がよいことがあります。

■腓腹筋攣縮(ひふくきんれんしゅく:こむらがえり)
・夜間睡眠中や運動時などに足のふくらはぎの筋肉がけいれんしたときには、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう:陽・虚から実)を頓服(とんぷく)として用います。服薬後5分程度で効きます。毎晩くり返す人は、寝る前に1回のんでおくと予防できます。
・鼻みずが出たり、足腰が重い感じのある人で足のふくらはぎの筋肉がけいれんしたときには、苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう:陰・虚)がよい場合があります。

■変形性膝関節症
・肥満して筋肉がやわらかく、水ぶとりで、夏は多汗で疲れやすい人には防已黄耆湯(ぼういおうぎとう:陽・虚・水毒〈すいどく〉)を用います。
・ひざが痛んではれ、熱をもっているときには越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう:陽・実・水毒)を用います。

■腰痛症・坐骨神経痛
・中高年の慢性腰痛で、冷え症の人には八味地黄丸(はちみじおうがん:陰・虚・腎の衰え)を用います。
・足にむくみがあり、しびれが強く、冷え症の人には牛車腎気丸(ごしゃじんきがん:陰・虚・腎の衰え)を用います。
・冷えはなく、慢性の腰痛と坐骨神経痛には疎経活血湯(そけいかっけつとう:陽・虚から実・お血〈おけつ〉)を用います。

■関節リウマチ
 さまざまな抗リウマチ薬などがありますが、副作用のために服薬できない人がいます。そのような場合には漢方方剤がよいのですが、漢方の専門的な知識をもっている医師にもっとも適した方剤を選んでもらう必要があります。
 ?苡仁湯(よくいにんとう:陽・虚から実・血虚〈けっきょ〉)、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう:陰・虚・水毒〈すいどく〉)、桂枝芍知母湯(けいししゃくちもとう:陰・虚)、大防風湯(だいぼうふうとう:陰・虚・血虚)などが用いられます。

(執筆・監修:医療法人社団誠馨会 千葉中央メディカルセンター和漢診療科 顧問 寺澤 捷年
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