神経性胃炎〔しんけいせいいえん〕

 慢性的に胃の不調をうったえますが、内視鏡などで検査をしても特別な異常がみとめられず、胃の機能障害が原因と考えられるとき、神経性胃炎と呼ばれています。欧米では、神経性胃炎のような機能的な胃の障害を「上腹部不定愁訴(しゅうそ:non-ulcer dispepsia〈NUD〉)」と呼ぶことが提唱され、わが国でも胃の不定愁訴(はっきりとしない不調)に対してNUDという病名が使われています。

[症状][原因]
 胸やけ、腹部膨満感、食欲不振、夜間や空腹時の上腹部痛などをうったえます。検査でも異常がみとめられず、ストレスや患者の性格など、心理的な要因が関与している場合が多くあります。

[治療]
 薬物治療としては胃の運動を活発にして(胃運動機能改善薬)、胃酸の分泌を抑え(H2受容体拮抗薬〈H2ブロッカー〉)、胃潰瘍に準じて治療します。
 神経性胃炎は心理的要因が関与していることが多いため、ストレスを避けリラックスした生活を送るよう指導をおこなうとともに、カウンセリングなどの精神療法も必要です。

(執筆・監修:順天堂大学大学院医学研究科 教授〔食道胃外科〕 梶山 美明)
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