新型コロナワクチンのアレルギー性副反応
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界的な問題となっています(2022年11月現在)。
国内ではCOVID-19ワクチンの先行接種が医療従事者を対象に2021年2月に開始され、その後、優先者接種、一般向け接種が強力に推進されています。
アナフィラキシーに関しては、米国疾病予防管理センター(CDC)による2021年1月の発表では接種994万回中50例(100万回に5例の割合)で生じています。国内のアナフィラキシー発症例のうちブライトン分類(国際的な評価基準)で確実といえる例数については、これよりもやや多い数が報告されていますが、いずれにしても低率といえます。女性に比較的多く、多くが15分以内、そして9割が30分以内に起きています。ほとんどの例で1回目接種で起きていて(1回目でアナフィラキシーを起こした人は2回目接種は受けられません)、8割はアレルギーの既往があったと報告されています。アナフィラキシー発症率は、感染により命を落とすよりもずっと低率であり、その他の副反応を含めて考えても、ワクチンの安全性は高いと考えられます。
ワクチンのアレルギー性副反応については、
日本アレルギー学会から文書が出されています。新型コロナワクチンにはポリソルベートやポリエチレングリコールといった添加物が入っていますが、これらは歯みがき粉や化粧液など、わたしたちの周囲の物品およびさまざまな医薬品にも入っているほか、大腸内視鏡検査の前処置で用いる下剤の一部の製品にポリエチレングリコールが大量に含まれています。こういった多くの製品で体調をくずす人については、学会の文書をご参照いただくことをお勧めします。なお、ワクチンの添加物として過去に問題となったゼラチンは入っていません。
COVID-19感染の際にぜんそく発作が起きやすいわけではありませんが、ぜんそくが不安定な人が感染すると医療機関で円滑に発作治療を受けるのがむずかしいです。アレルギー疾患に限らないことですが、持病の治療をきちんと継続し良好な状態を維持するよう努めていただければと思います。
《参考文献》
「新型コロナワクチン接種について」
日本アレルギー学会 第2版(2021年8月23日)
「
コロナワクチンナビ」厚生労働省(2022年11月21日参照)
(執筆・監修:
帝京大学ちば総合医療センター 第三内科〔呼吸器〕 教授 山口 正雄)