新型コロナウイルス感染症(COVID-19)〔しんがたころなういるすかんせんしょう(コビット-19)〕

 人や動物の間で広く感染症を引き起こすことで知られるコロナウイルスは、人に感染症を起こすものとしてはこれまで6種類が知られており、そのうち、深刻な呼吸器疾患を引き起こす型として、SARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)が知られていました。新型コロナウイルス(略称:SARS-CoV-2)は、2019年に中国湖北省武漢市付近で発生が初めて確認された新しいタイプのSARS関連コロナウイルスです。新型コロナウイルスによる感染症を「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」と呼びます。現在までにパンデミックといわれる世界的大流行を起こしており、わたしたちの生活に重大な影響を与えています。
 おもな感染経路については、現時点(2021年7月)では飛沫(ひまつ)感染と接触感染が考えられますので、手洗いやマスクの着用、せきエチケット、集団感染を防ぐ行動(「3密(密閉、密集、密接)」を避ける)などの感染対策が重要です。潜伏期間は1〜12.5日と考えられていることなどから、感染者は14日間の健康状態の観察が推奨されています。
 症状は、微熱を含む発熱、のどの痛み、せきといったかぜ症候群の一般的な症状で始まることが多いですが、新型コロナウイルス感染症の場合、そうした症状が比較的長いことが特徴的です。また、嗅覚(きゅうかく)障害・味覚障害をうったえる患者さんが多いという特徴があることもわかってきました。そして、重症化する例では、発症から1週間前後でせき・たん・呼吸困難といった肺炎の症状が強くなってくることが報告されています。重症化する割合は、現時点では2割弱と考えられています。さらに、感染しても無症状である人が一定数いることもわかっており、感染拡大を予防・対策するうえでの問題となっています。
 現在までに、レムデシビル(抗ウイルス薬)、デキサメタゾン(ステロイド薬)、バリシチニブ(抗炎症薬)、さらにカシリビマブ+イムデビマブの抗体カクテル療法が新型コロナウイルス感染症治療薬として使えるようになりましたが、さらにいくつかの薬剤に対する治験・臨床研究が進行中であり、より有効な治療法の確立が期待されています。
 また、新型コロナウイルス感染症に対する複数のワクチンが開発され、臨床試験が完了し、世界中で接種が進められており、感染拡大および重症化の予防効果が期待されています。

(執筆・監修:順天堂大学大学院医学研究科 准教授〔呼吸器内科学〕 佐藤 匡)