先天(性)代謝異常症

解説
 遺伝子異常により特定の酵素の機能が低下したために起こる病気で、フェニルケトン尿症メープルシロップ尿症などのアミノ酸代謝異常、ガラクトース血症、糖原病などの糖質代謝異常、ゴーシェ病やニーマンピック病などの脂質代謝異常、ムコ多糖症など多くの病気があります。
 発病する年齢はさまざまで、症状も多様ですが、急に嘔吐(おうと)をくり返したり、意識が低下して反応がにぶくなる、徐々に発達がとどこおってくる、肝臓や脾(ひ)臓が大きくなってくるなどの症状があれば、先天代謝異常症を疑って検査したほうがいいでしょう。低血糖発作、からだが酸性になるアシドーシス発作、高アンモニア血症などを伴うものがあり、異常が疑われた酵素の活性を測定や遺伝子検査をすることで確定診断となります。
 ここで説明する病気を含め、多くの先天代謝異常症は小児慢性特定疾患、および難病医療費助成制度対象疾病(指定難病)に指定されており、医療費の助成が受けられます。

■先天代謝異常症の新生児マススクリーニング
 以前は、フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症の4つの代謝異常症と、先天性副腎皮質過形成先天性甲状腺機能低下症のスクリーニング検査が全国的におこなわれていました。現在は、スクリーニング検査の対象疾患がふえ、代謝異常症では、アミノ酸代謝異常、有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常症、糖代謝異常症から17種類の病気のスクリーニングがおこなわれています。

●新生児マススクリーニング対象疾患
アミノ酸代謝異常
フェニルケトン尿症
ホモシスチン尿症
メープルシロップ尿症
シトルリン血症Ⅰ型
アルギニノコハク酸尿症
有機酸代謝異常症
メチルマロン酸血症
プロピオン酸血症
イソ吉草酸血症
メチルクロトニルグリシン尿症
ヒドロキシメチルグルタル酸血症
複合カルボキシラーゼ欠損症
グルタル酸血症1型
脂肪酸代謝異常症
中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(MCAD欠損症)
極長鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症(VLCAD欠損症)
三頭酵素/長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素欠損症(TFP/LCHAD欠損症)
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1欠損症(CPT-1欠損症)
糖質代謝異常症
ガラクトース血症
内分泌疾患
先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
先天性副腎皮質過形成


 これらは、症状が出てから治療したのでは手遅れになる病気で、早い時期に検査し、特殊ミルクや薬などで治療して症状が出るのを予防しようというものです。
 スクリーニング用紙は、母子健康手帳といっしょに配付されます。産科医院で生後5~7日に、赤ちゃんのかかとから取った血液をろ紙につけ、検査機関に送って検査します。受検率は99.8%以上で、フェニルケトン尿症は新生児11万人に1人、先天性甲状腺機能低下症は8000人に1人の割合で発見され、治療されています。ミルクの飲み具合や抗菌薬の使用が検査に影響することもあります。
 なお、先天代謝異常症で特殊ミルクが必要な場合には、無償で提供されるようになっています。