新型コロナウイルスを巡っては、倦怠(けんたい)感や頭痛などの後遺症に悩まされる患者も多く、治療期間は長期化する傾向がある。感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した後も、診療に当たる医師は「感染対策を続ける必要がある」と呼び掛けている。
 世界保健機関(WHO)は後遺症を「2カ月以上続き、他の疾患では説明できない症状」と定義している。ウイルスの残存や感染に伴う免疫反応などが影響しているとみられるが、原因は解明されておらず、治療法も確立していない。
 岡山大病院は、2021年2月~23年4月に同病院の専門外来を受診した685人を分析。従来株、デルタ株、オミクロン株の患者別に比較したところ、いずれも「倦怠感」を訴える割合が最も高かった。
 オミクロン株に感染した患者では、睡眠障害の割合が23.8%に上り、デルタ株(13.0%)を大きく上回った。頭に霧がかかったような状態となり、集中力が低下する「ブレーンフォグ」は全体の27.0%を占めた。
 後遺症が治まるまでの平均治療日数は195日だった。一方で、全体の半数近くは通院中で、症状の持続期間は平均で1年を超えており、同大の大塚文男教授は「後遺症を引き起こす共通のメカニズムは特定されていない。移行後も感染対策を続けることが必要だ」と話す。
 後遺症疑いの患者を6000人近く診察してきたヒラハタクリニック(東京都渋谷区)の平畑光一院長は「いずれの株でも倦怠感やブレーンフォグの中核症状は変わらない。急性期症状が軽くても後遺症が重くなることはある」と指摘。「感染者の10~30%は後遺症にかかるというデータもある。感染したら2カ月は注意して生活してほしい」とし、感染対策の継続やワクチン接種を積極的に検討するよう求めた。 (C)時事通信社