2024年1月1日、石川県能登半島で最大震度7の揺れを観測する地震が発生した。現地の医療機関にも大きな被害が生じており、厚生労働省が本日(1月23日)に公開した「石川県能登地方を震源とする地震について(第48報)」によると、本日6時時点で石川県の10施設において水使用不可、2施設で倒壊の危険がある建物からの患者の搬送完了などとなっている。他方、県外からは災害派遣医療チーム(DMAT)161隊、災害派遣精神医療チーム(DPAT)21隊、日本医師会災害医療チーム(JMAT)60隊をはじめ、複数の医療班が石川県庁本部および各地の病院・避難所で活動を継続。各医学会も発災直後から支援の動きを始め、血栓症への対策や被災者の精神的ケアなど、現地で活動する医療従事者向けに被災地で重要となる情報を発信している。以下、1月23日までの学会発の情報をまとめた。

内科学会:医師としての行動指針を示す

 日本内科学会は1月1日に「【緊急】令和6年能登半島地震について(サバイバルカード&アクションカード)」を公開、同学会が東日本大震災や熊本地震の教訓を基に作成したサバイバルカードおよびアクションカードを再掲載。「アクションカード病院・診療所編」では、地震などの大規模災害に遭遇した際の医師としての行動指針を提示している。また、同じ内容を収録した無料スマートフォンアプリ「日本内科学会 災害医療アプリ」も紹介している。

 日本糖尿病学会は1月3日に「令和6年能登半島地震」への対応について」を公開し、信頼できる情報源のリンクを掲出。日本糖尿病協会の「災害にあった時には - 糖尿病とともに生きる人の災害への備え」などを紹介している。

 日本小児科学会は1月5日、同学会災害対策本部(令和6年能登半島地震対策本部)を設置。1月13日に「令和6年能登半島地震 震災関連情報」ページを公開し、被災者・支援者向けの情報を掲出している。

感染症学会:災害時の感染症対策マニュアル掲載

 日本感染症学会は1月5日、「令和6年能登半島地震のお見舞い」を公開。「発災からの時間の経過とともに、さまざまな要因から呼吸器感染症、消化器系感染症、皮膚・軟部組織感染症などのリスクが高まる」と指摘した。感染症診療および対策に関する資料として「東日本大震災-地震・津波後に問題となる感染症-Version2」、「災害と感染症対策」の2点を掲出している。またX(旧Twitter)公式アカウントでは、厚労省などが公開した震災関連情報の紹介を続けている。

 日本循環器学会、日本心臓病学会、日本高血圧学会は1月5日、「『避難所における循環器疾患の予防』に関するお知らせ」を連名で公開。過去の震災発生時に患者の増加が認められた循環器疾患が確認できる「災害時循環器疾患の管理・予防に関するガイドライン」のダイジェスト版およびオリジナル版を掲出した。

 日本老年医学会は1月5日、「令和6年1月石川県能登地方を震源とする地震への高齢者支援」を公開。被災地において健康を確保するため、『高齢者災害時医療ガイドライン第2版』および『一般救護者用災害時高齢者医療マニュアル』を掲出した。また、現場からの報告として金沢医科大学、公立穴水総合病院から寄せられた情報を公開している。

 日本リウマチ学会は1月5日、「能登半島地震のお見舞い」を公開。「メディカルスタッフのためのライフステージに応じた関節リウマチ患者支援ガイド」から第4部「災害時に対する備えと対応について」を抜粋して掲出した。

産科婦人科学会:情報共有システムを災害時モードに

 日本精神神経学会は1月9日に「令和6年能登半島地震対策特設サイト」を開設し、信頼できる情報源の一覧を公開。医師、保健師、看護師、精神保健福祉士などによる平時および災害時の地域精神保健医療の在り方について確認できる『災害時地域精神保健医療活動ガイドライン』など、災害メンタルヘルスに関する資料を掲出している。

 日本産科婦人科学会は1月9日更新の「能登半島地震について」において、災害発生時における分娩取り扱い施設の情報共有を促進する「大規模災害対策情報システム(PEACE)」を災害モードに切り替えたと発表。災害対策本部を立ち上げ情報収集を行うとともに、日本産婦人科医会と共同で義援金の準備を進めている。 

 日本化学療法学会は1月10日、「令和6年能登半島地震のお見舞い」において「感染症診療を中心に、どのような支援ができるか検討している」と発表。「能登半島地震における支援について」と題したフォームを設置し、意見・要望を寄せるよう学会会員に呼びかけている。

 日本神経学会は1月11日、「令和6年能登半島地震への対応について(日本神経学会会員の皆様へ)」を公開。被災に関する情報提供、情報交換の場として学会会員用の災害対策掲示板を設置した。

 日本放射線腫瘍学会は1月12日、「令和6年能登半島地震につきまして」を公開。被災により放射線治療の実施が困難な施設の把握を進めている。メール件名を「令和6年能登半島地震被害による放射線治療体制につきまして」とした上で、被害の詳細を日本放射線腫瘍学会事務局(jastro-office@jastro.jp)へ連絡するよう呼びかけた。

 日本認知症学会は1月23日現在、避難所などで生活する認知症患者と家族を支援するための「被災した認知症の人と家族の支援マニュアル<医療用> 2 版」を公開している。

 日本泌尿器科学会は1月23日現在、「【緊急】令和6年能登半島地震について」を学会サイトの一般向けページに公開し、被災した泌尿器科疾患患者の服薬、排尿に関するアドバイスを掲載している。

(小田周平)