米・Dana-Farber Cancer Institute/スウェーデン・Karolinska InstitutetのQiao-Li Wang氏らは、医療従事者15万例超を30年以上追跡した大規模前向き研究であるNurses' Health Study(NHS)とHealth Professionals Follow-Up Study(HPFS)のデータを用い、体重減少とがん発症との関連を検討。その結果、体重減少がなかった者と比べ、2年間で10%超減少した者ではその後1年間の新規がん発症率が有意に高く、意図的な減量と比べ意図せぬ減少では約2倍とより顕著だったとJAMA(2024; 331: 318-328)に発表した。

看護師など15万人超のデータを解析

 解析対象は、40歳以上のNHS参加者(女性看護師:追跡期間1978年6月~2016年6月)とHPFS参加者(男性医療従事者:同1988年1月~2016年1月)のうち、ベースラインでがん既往歴があった者などを除外した15万7,474例(年齢中央値62歳、女性71.1%、白人95.2%)。連続する2回(2年間隔)の質問票調査の体重データから、2年間の体重減少率を算出した。

 164万人・年の追跡期間中にがん発症は1万5,809例(10万人・年当たり964)に認められた。解析の結果、主要評価項目とした追跡期間中の最後の体重減少後12カ月間における10万人・年当たりの新規がん発症率は、体重減少なし群の869に対し体重減少あり群では1,362と有意に高かった〔群間差493、95%CI 391~594、多変量調整後の相対リスク(aRR)1.37、95%CI 1.27~1.48、P<0.001〕。

 さらに10万人・年当たりのがん発症率は意図的な減量の可能性が高い群(身体活動量が増え食事の質が向上)の1.220と比べ、低い群(いずれも認められない)では2,687とリスクが約2倍だった(群間差1,467、95%CI 799~2,135、aRR 1.95、95%CI 1.48~2.56、P<0.001)。

上部消化管がん、血液がん、肺がんで高リスク

 がんの種類別に見ると、体重減少なし群と比べて体重減少あり群は上部消化管(食道、胃、肝臓、胆道、膵臓)がんのリスクが特に高かった(10万人・年当たり173 vs. 同36、群間差137、95%CI 101~172、P<0.001)。

 血液がん(非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫白血病:10万人・年当たり146vs. 同66、群間差80、95%CI 47~113)、大腸がん(同141 vs. 77、63、31~96)、肺がん(同177 vs. 72、105、69~141)の発症率も体重減少あり群で有意に高かった(全てP<0.001)。一方、乳がん、生殖器がん、泌尿器がん、悪性脳腫瘍、黒色腫に両群で有意な差が見られなかった。

 以上の結果から、Wang氏らは「体重減少がなかった者と比べ、2年間で10%超減少した者はその後1年間の新規がん発症リスクが有意に高く、特に上部消化管がんでリスクが高かった」と結論。「がん疑い例の診断において、詳細に評価すべき体重減少の特徴について明確な定義はないが、『意図せぬ体重減少』は、潜在性がんに起因している可能性が否定できない重要な特徴であろう」と付言している。

太田敦子