ノボ ノルディスクファーマは本日(2月22日)、週1回皮下投与のGLP-1受容体作動薬セマグルチド(抗肥満薬としての商品名ウゴービ皮下注)を発売したと発表した。同薬は、1992年に発売された食欲抑制薬マジンドール以来、約30年ぶりとなる抗肥満症薬として、昨年(2023年)3月に承認された。(関連記事「肥満症に対する内科的治療の復権」)
ウゴービ2.4mg群で13.2%、同1.7mg群で9.6%の体重減少を達成
ウゴービの承認は、日本人585例を含む5,085例の過体重または肥満の成人を対象とした臨床試験プログラムSemaglutide Treatment Effect People with obesity(STEP)の結果に基づく。
日本人が参加した東アジア試験(STEP6)では、生活習慣の改善(食事療法および運動療法)にもかかわらず十分な減量効果が得られないBMI 27以上の肥満成人を対象に、ウゴービ2.4mgまたは同1.7mgを週1回68週間投与。その結果、68週時点でウゴービ2.4mg群では13.2%、同1.7mg群では9.6%の体重減少を達成した。また、肥満関連の合併症(2型糖尿病、高血圧、脂質異常症)についても、同薬の投与により血糖、血圧、脂質プロファイルの改善が認められた。
適正使用の確実な推進を目指す
慢性疾患と定義される「肥満症」。ノボ ノルディスクファーマ代表取締役社長のKasper Bødker Mejlvang氏は「肥満症は遺伝的、身体的、心理的、社会経済的といった複合的な要因から成る疾患。そのため、食事療法や運動療法のみでは効果的な減量の達成や健康障害の改善が難しく、薬物療法を含む医療介入が必要だ」と説明する。
日本では現在、約1,600万人がBMI 25以上の肥満と推定され、そのうち医師の診断を受けているのはわずか33万人(2.1%)である。
同社肥満症事業本部本部長の清水真理子氏は「ウゴービは、高血圧または脂質異常症を有する肥満症患者に対しても有効性が示されている。同薬を治療のオプションに加えることで、薬物療法を要する肥満症患者の健康障害改善とQOLの向上、寿命の延長に寄与したい」と展望。その一方で、昨今問題視されているいわゆる「GLP-1ダイエット」などの不適正使用に対しては強い懸念を示し、「最適使用ガイドラインに基づくウゴービの適正使用を確実に推進していけるよう、規制当局や医療者などと協力していきたい」との意向を示した。
(比企野綾子)