厚生労働省が、特許が切れた先発医薬品の窓口負担を10月から引き上げる制度改正の対象品目に、乳幼児やアトピー性皮膚炎の患者に処方される保湿塗り薬「ヒルドイド」を盛り込んだことが20日、分かった。同じ効能を持つ安価な後発薬(ジェネリック)が普及しているため。近年、美容目的で大量に処方を受けるケースが問題視されており、不適切な利用を是正する効果もあるとみられる。
 制度改正は特許切れ先発薬について、後発薬との差額の4分の1を保険適用外とし、原則1~3割の患者負担に上乗せする仕組み。安価な後発薬の使用を促し、医療費の抑制を図る狙いがある。医師の判断で先発薬を処方した場合などは対象外となる。
 厚労省は、後発薬への置き換え率50%以上などの基準で制度改正の対象となる先発薬を選定。ヒルドイドは該当すると判断した。
 3割負担の人がクリームのヒルドイド(1グラム18.5円)を300グラム処方される場合、保険適用外となった費用とその部分にかかる消費税が上乗せされ、窓口負担は2439円で現行より774円高くなる計算。子ども医療費を無償にする自治体の支援制度があっても、保険適用外の部分は原則として負担が生じる見通しだ。
 ヒルドイドは、インターネットや雑誌などで「美容アイテム」として紹介され、不適切な利用が増加。健康保険組合連合会などが「医療費の無駄遣い」と批判していた。 (C)時事通信社