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湘南ヘルスイノベーションパークの研究者有志団体World CafeとグッテがPatient Centricityの取り組みを実施し潰瘍性大腸炎・クローン病(IBD)患者さんの医薬品ニーズを抽出
株式会社グッテ
潰瘍性大腸炎・クローン病等の炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)患者のためのオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」や過敏性腸症候群(IBS)、IBD患者含むお腹に不安を抱える方向けのレシピサイトを運営する株式会社グッテ(所在地:東京都千代田区、代表取締役:宮崎 拓郎、以下「当社」)は湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)に所属する製薬企業研究者等が中心となって運営しているWorld Cafeと、患者さんの声を医薬品開発に反映する取り組みPatient Centricityの取り組みとしてIBD患者さんを対象とした”製薬企業研究者と患者さんとの間接的な座談会”を計4回実施し、IBD患者さんの医薬品に関するニーズを抽出しました。当社とWorld Cafeは連携しながら今後ともPatient Centricityの取り組みを推進していきます。
【IBD患者さんの医薬品に関するニーズ 一部抜粋まとめ】
【製薬企業研究者の声 一部抜粋まとめ】
【開催経緯】
現在、医薬品開発の現場では、患者の声を活かした医薬品開発(Patient Centricity)がかかげられ、様々な取り組みが行われています。湘南アイパークにて活動を行う製薬企業研究者等の有志団体World CafeはPatient Centricityの活動の一環として、これまで様々な外部団体と連携を計ってきました。しかしながら、患者さんの声を直接聞く機会は限られていました。
一方、IBD患者さん・ご家族向けのオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」を運営する当社はこれまで多くの製薬企業のIBD患者向け定性・定量調査を実施してきました。ですが調査では患者さんが調査依頼主の企業からフィードバック等を受けることは限られており、どのように患者さんの声が製薬企業の活動に生かされているのかわからないといった声がありました。
そこで、今回は、Patient Centricityに関する新しい取り組みとして、Gコミュニティを運営するグッテスタッフがファシリテーター・情報の伝達役となり、IBD患者さんの座談会とその内容を踏まえた研究者の座談会を交互に行うことで、間接的に研究者と患者さんが意見交換を行う”間接的な座談会”を開催しました。今回得られたニーズ等を元に当社はWorld Cafeと連携しながらPatient Centricityの取り組みを進めてまいります。
【間接的な座談会実施方法】
【参加患者背景】
●クローン病・男性・20代
●クローン病・男性・50代
●クローン病・女性・30代
●クローン病・女性・30代
●潰瘍性大腸炎・男性・30代
●潰瘍性大腸炎・男性・40代
●潰瘍性大腸炎・女性・40代
●潰瘍性大腸炎・女性・40代
●潰瘍性大腸炎・女性・50代
【各ニーズに関する具体的なコメント】
〇倦怠感や睡眠不足など日常生活に影響を与える副作用に患者さんの関心が高く、このような日常生活に影響を与える副作用の軽減を求めていた。
「副作用として私が一番大きいのは睡眠です。例えば入院になると医薬品Aを入れられるんですけど、一睡もできないっていうことになってしまうので、余計に治るものも治らなくなってしまう。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「タイツ履きっぱなしとかストッキング履きっぱなしになると、お尻が自然と蒸れるので、肌が荒れたりするんですね。どんどん別のトラブルが出てきたりするので、腫れとか炎症は治るけど、今度は皮膚の症状が出てくる」(クローン病・30代・女性)
「コロナの後遺症とかって世間ですごく騒がれていますけど、私たち患者からすれば毎日その感覚だよって感じなんですね。それ以上の感覚を味わっている。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「感情の面ではやたら感情の起伏が激しいんですね。えらいハイの時と、えらい落ち込むのと、多分薬のせいかなって」(クローン病・60代・男性)」
〇因果関係が不明であっても患者さんが医薬品の副作用と感じている症状があり、それらの症状や対策について医師と相談できない、もしくは医師からも対処法が提示されないことがある。
「腎臓とか肝臓とか何かしら異常な値で、それを治療するほどではない、『まあ要注意ですね』っていう定番の言葉をいただいて、『今飲んでる薬剤が原因ですか』と聞いても、『これだけ薬を飲んでいたらその薬剤が原因かどうかわからない』と正直に先生が言われる。多剤飲んでいてビタミン剤も含めていると、それがどう複合作用するかっていうのは検出するのは難しいのかな。」(クローン病・60代・男性)」
「手足の痺れなど、10年目なので結構体にいろいろ負担がかかってきています。薬を飲み続けることで、各薬剤は副作用が無いとか、少ないとか言われていますけど、もう10年も飲み続けると体への負担っていうのはそれなりに蓄積されると思うんですよね。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「副作用が出たらそれに対して薬で対応して「こっちの責任じゃない」みたいに言われるのがなにかすごい悔しいというか理不尽というか」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「薬を試した後に、何か症状が出た時はどうなっていたんだろうっていうのはすごい思いました。今内科の先生だけにかかっているんですけど、内科の先生に症状をお話ししたら別の科に回されてそれだけなのかなみたいなのはちょっと思ってました。」(クローン病・30代・女性)
〇患者さんが医師にも訴えないもしくは訴えてもあまり対処法がない日常生活に影響を与える副作用情報を集めて他の患者さんや医師、製薬企業に共有したい。
「根本的に副作用を少なく出来るとかそういう手が打てるのであれば、ひとつはこういう座談会を続けるというのとか、接点を持つことによって多分何を見て研究するのかっていうのがはっきりしてくるので、多分研究者さんのモチベーション的にも結構高くなるのかなって。自分たちが作っている薬の意義とか課題とかっていうのもより明確に捉えられて、結構研究者さんひとりひとりの向き合い方も変わってくるんじゃないかなと思う」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「ある薬剤の時にすごい自己注射が痛かったんですよね、そういう声がもしかしたらたくさんあって、お医者さんも拾ってくれたからだと思うんですけど、ネットでそういう声が大きかったりすると研究者の人にも届いて改善に繋がっていったりとかするのかなって思って。ちょっとの副作用でも生活に大きな影響があるものはどんどんネットとかSNSでも発信していったら、患者さんの声が大きくなっていくのかなって、いつか届いたりするのかなって思いました。こっちから働きかけられる方法としてそれがあるのかなって。」(クローン病・30代・女性)
(診察の際に医師から)「『今使っている薬にはこういう副作用があるんだけど何か思い当たるふしありますか』みたいな問いかけがあって、それに対して例えば辛さがあったら10段階で10は今すぐ病院にかからないと死ぬみたいな感じ、そういうような尺度を示した上で回答してもらう方法で情報を集められるようにしたらどうかと思いました。それをその医師や製薬会社や薬剤師さんで共有できるようになると、よりそれぞれの専門分野からアドバイスっていうのが患者としてはもらいやすいし、それぞれ連携もしやすくなるのかなと。」(潰瘍性大腸炎・30代・男性)」
【参加したIBD患者さんの声】
「患者さんの実態を知っていただきたい。多分おそらく医者から処方される薬とかで寛解を維持したりとか、痛みを抑えたりとか、そういう部分もあるんですけど、その副作用で苦しんでいたりします。そこをちゃんとわかってほしい。(患者さんの)実態を知った上で、(企業)存続のための利益と患者さんの気持ちの寄り添い方っていうのをバランスとりながら開発を続けていってほしいなって思います。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「直接こうやって実際の患者さんの生の声を聞く機会をもっと増やしてほしいなと思いますね。いろんなところで交流会とか患者会とか開催されていると思うので、そこに製薬会社さんとか薬剤師さんとか参加してくださると、患者としたらすごく嬉しい。皆さん直接伝えたい、知ってもらいたい思いがあると思うので、聞いてもらって新しい新薬とかに取り入れてもらえたら嬉しいです。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「こういう機会でいろいろ話が直接できたのはいいかなと思います。やっぱり医者を通しちゃうとそれが違った形で伝わる可能性もあるし、そのままのことを言っているかどうかというのは別の話になってくる気もするので、こういう機会があって、そういう取り組みをしていただけると患者としてはいいかなと。是非患者の声を直接取り込んでいただけると、いい薬ができるのかなという期待を持ちますね」(潰瘍性大腸炎・40代・男性)
「やっぱり医療現場とか製薬の現場の事情とかを患者側は知らないし、患者側のライフスタイルの実態も薬を作っている人たちも知らないので、(このような取り組みを通して)、何か相互理解みたいなところが進んでいくのかなって。どんどんこういう機会を増やして患者さん側も『向こうにもこういう事情があるからできないんだ』みたいなことが知れたら、声の届け方も工夫しはじめるかもしれないって思いました。そういう点では本当に勉強になる機会だったと思います。また機会があったら参加したいです。」(クローン病・30代・女性)
【参加したWorld Cafe参加者の声】
「患者様の生の声を聞く機会は大変貴重であり、この取り組みに参加できてとても良かったと感じています。患者様お1人だけではなかなか難しくとも、同様の悩みを抱えている方の声がこうした取り組みを通じて集まる事で、事態を前に動かす大きな力になれるのではないかと感じました。頂いたご意見を胸に、一層身を引き締めて創薬に取り組みたいと思います。」
「限られた診察では得難い患者さんの思いを伺うことができる貴重な機会であったと思います。治療効果を第一に考えて、薬剤選択をする傾向があったので、副作用をより配慮した薬剤選択を心掛けたいと思います。」
「製薬業界からするとIBD(UCとCD)に対する薬は多数開発されており、臨床ニーズは満たされつつあるのかと考えていました。一方で今回患者さんの声をお聞きすると、薬の候補は沢山があるが、万能薬はなく、副作用が患者さんの大きな負担になっていることが理解できました。患者さんの話を詳しく読ませていただくと、第一選択薬が効かなくなり、医薬品増量あるいは医薬品変更となるケースが結構あるとのこと。この方法は患者さんにさらなる負担を課すことになっていると思いました。結果として感じたことは、IBD医療の現状は、当初思っていたのとは異なり、根本治療薬が無いことあるいは埋められていないピースが存在することが示されているのだと思います。この考えに至れたのは患者さんの声を聴けたからだと思います。このような機会を与えていただいたグッテさんに感謝いたします!埋められていないビースの医薬品開発が実現出来れば、患者さんの薬が減らせて、寛解維持が出来て、再燃も減らせると思います。良い薬を作りたいですね。やる気が出てきました!!」
「副作用をはじめとする患者様の困りごとを、日々の生活の文脈ともに捉えなおすことができ、創薬研究を考えるうえで大変有意義でした。一製薬企業だけで解決できない課題もあることを改めて認識しましたが、 今回のような取り組みを通して患者様と製薬企業、製薬企業同士が協調することで一つずつ解決していけるのではないかと期待しています。」
「特に患者様が抱えるポリファーマシーと副作用に日常的にお困りになられているお話が強く印象に残り、まだまだ至らないところの多さを痛感しました。生の声を頂くことで、治療法の安全性と効果のバランスをより改めて考える貴重な機会を得たと感じております(製薬研究として当たり前の事ではあるのですが)。また、患者様の声から私たちの取組みを理解頂けたことも感じられ、よりこのような機会が増えれば有難いなと感じております。患者中心の治療法開発への道を拓く貴重な機会になると思います。この機会をご提供頂いたグッテさんに心より感謝申し上げます。」
「患者さんの声を直接うかがうことにおいていろいろと制約のある製薬企業にとって、患者さんのニーズをとりまとめて届けてくださる存在はとても大きいと感じました。
こうした枠組みは、さまざまな企業の研究者が組織や企業の垣根を越えてPatient Engagement について考えていく機会を広げていくにあたって、今後も貴重な手段になると思います。」
参考資料
1. World Cafeについて
湘南アイパーク内の製薬企業研究者を中心とした有志団体です。企業間の垣根を越えたコミュニケーションを通じて、新たな繋がり、アイデアの発掘を推進しています。Patient Centricity等をテーマに、グッテ様をはじめとする様々な企業様ともコラボレーションさせて頂いております。
ホームページ:https://ipark-world-cafe.hatenablog.jp/
2. 湘南アイパークについて
湘南アイパークは、2018年4月に武田薬品工業が自社研究所を外部に開放して誕生した、日本初の製薬企業発サイエンスパークです。幅広い業種や規模の産官学が結集してヘルスイノベーションを加速する場となることを目指しており、製薬企業のみならず、次世代医療、細胞農業、AI、行政など約180社、2500人以上(2024年5月現在)の企業・団体が集積し、エコシステムを形成しています。
3. 株式会社グッテ、Gコミュニティについて
米国ミシガン大学留学中に出会った宮崎拓郎(米国管理栄養士・公衆衛生学修士)、鈴木紀之(経営学修士)らが2018年9月に創業した会社です。2019年7月にIBD患者オンラインコミュニティ「Gコミュニティ」を開始しました。Gコミュニティは、IBD患者さんとその家族らを対象とした医療の専門家(医療従事者・研究者)と患者さんが一緒に作るクローズドオンラインコミュニティです。2019年7月にサービスを開始し登録者は2500名を超えています。また2022年11月にはIBD患者さんのレシピを集めた「グッテレシピ」をオープンしました。
グッテホームページ:https://goodte.jp/
Gコミュニティ:https://gcarecommunity.com/
グッテレシピ:https://goodtecommunity.com/
4. 炎症性腸疾患について
炎症性腸疾患は、腸管の粘膜に潰瘍ができる炎症性の疾患です。症状は、腹痛や下痢、下血などで、多くの場合は症状が軽快する「寛解」と悪化する「再燃」を繰り返し、QOL(生活の質)を低下させます。本疾患は、発症メカニズムが未だ解明されておらず、厚生労働大臣により「指定難病」に指定されています。 国内患者数は、潰瘍性大腸炎が約22万人、クローン病が約7万人で、近年、増加する傾向にあります1)。
1)厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班による
「潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識」(2020年3月改訂)、
「クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識」(2020年3月改訂)
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潰瘍性大腸炎・クローン病等の炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)患者のためのオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」や過敏性腸症候群(IBS)、IBD患者含むお腹に不安を抱える方向けのレシピサイトを運営する株式会社グッテ(所在地:東京都千代田区、代表取締役:宮崎 拓郎、以下「当社」)は湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)に所属する製薬企業研究者等が中心となって運営しているWorld Cafeと、患者さんの声を医薬品開発に反映する取り組みPatient Centricityの取り組みとしてIBD患者さんを対象とした”製薬企業研究者と患者さんとの間接的な座談会”を計4回実施し、IBD患者さんの医薬品に関するニーズを抽出しました。当社とWorld Cafeは連携しながら今後ともPatient Centricityの取り組みを推進していきます。
【IBD患者さんの医薬品に関するニーズ 一部抜粋まとめ】
【製薬企業研究者の声 一部抜粋まとめ】
【開催経緯】
現在、医薬品開発の現場では、患者の声を活かした医薬品開発(Patient Centricity)がかかげられ、様々な取り組みが行われています。湘南アイパークにて活動を行う製薬企業研究者等の有志団体World CafeはPatient Centricityの活動の一環として、これまで様々な外部団体と連携を計ってきました。しかしながら、患者さんの声を直接聞く機会は限られていました。
一方、IBD患者さん・ご家族向けのオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」を運営する当社はこれまで多くの製薬企業のIBD患者向け定性・定量調査を実施してきました。ですが調査では患者さんが調査依頼主の企業からフィードバック等を受けることは限られており、どのように患者さんの声が製薬企業の活動に生かされているのかわからないといった声がありました。
そこで、今回は、Patient Centricityに関する新しい取り組みとして、Gコミュニティを運営するグッテスタッフがファシリテーター・情報の伝達役となり、IBD患者さんの座談会とその内容を踏まえた研究者の座談会を交互に行うことで、間接的に研究者と患者さんが意見交換を行う”間接的な座談会”を開催しました。今回得られたニーズ等を元に当社はWorld Cafeと連携しながらPatient Centricityの取り組みを進めてまいります。
【間接的な座談会実施方法】
【参加患者背景】
●クローン病・男性・20代
●クローン病・男性・50代
●クローン病・女性・30代
●クローン病・女性・30代
●潰瘍性大腸炎・男性・30代
●潰瘍性大腸炎・男性・40代
●潰瘍性大腸炎・女性・40代
●潰瘍性大腸炎・女性・40代
●潰瘍性大腸炎・女性・50代
【各ニーズに関する具体的なコメント】
〇倦怠感や睡眠不足など日常生活に影響を与える副作用に患者さんの関心が高く、このような日常生活に影響を与える副作用の軽減を求めていた。
「副作用として私が一番大きいのは睡眠です。例えば入院になると医薬品Aを入れられるんですけど、一睡もできないっていうことになってしまうので、余計に治るものも治らなくなってしまう。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「タイツ履きっぱなしとかストッキング履きっぱなしになると、お尻が自然と蒸れるので、肌が荒れたりするんですね。どんどん別のトラブルが出てきたりするので、腫れとか炎症は治るけど、今度は皮膚の症状が出てくる」(クローン病・30代・女性)
「コロナの後遺症とかって世間ですごく騒がれていますけど、私たち患者からすれば毎日その感覚だよって感じなんですね。それ以上の感覚を味わっている。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「感情の面ではやたら感情の起伏が激しいんですね。えらいハイの時と、えらい落ち込むのと、多分薬のせいかなって」(クローン病・60代・男性)」
〇因果関係が不明であっても患者さんが医薬品の副作用と感じている症状があり、それらの症状や対策について医師と相談できない、もしくは医師からも対処法が提示されないことがある。
「腎臓とか肝臓とか何かしら異常な値で、それを治療するほどではない、『まあ要注意ですね』っていう定番の言葉をいただいて、『今飲んでる薬剤が原因ですか』と聞いても、『これだけ薬を飲んでいたらその薬剤が原因かどうかわからない』と正直に先生が言われる。多剤飲んでいてビタミン剤も含めていると、それがどう複合作用するかっていうのは検出するのは難しいのかな。」(クローン病・60代・男性)」
「手足の痺れなど、10年目なので結構体にいろいろ負担がかかってきています。薬を飲み続けることで、各薬剤は副作用が無いとか、少ないとか言われていますけど、もう10年も飲み続けると体への負担っていうのはそれなりに蓄積されると思うんですよね。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「副作用が出たらそれに対して薬で対応して「こっちの責任じゃない」みたいに言われるのがなにかすごい悔しいというか理不尽というか」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「薬を試した後に、何か症状が出た時はどうなっていたんだろうっていうのはすごい思いました。今内科の先生だけにかかっているんですけど、内科の先生に症状をお話ししたら別の科に回されてそれだけなのかなみたいなのはちょっと思ってました。」(クローン病・30代・女性)
〇患者さんが医師にも訴えないもしくは訴えてもあまり対処法がない日常生活に影響を与える副作用情報を集めて他の患者さんや医師、製薬企業に共有したい。
「根本的に副作用を少なく出来るとかそういう手が打てるのであれば、ひとつはこういう座談会を続けるというのとか、接点を持つことによって多分何を見て研究するのかっていうのがはっきりしてくるので、多分研究者さんのモチベーション的にも結構高くなるのかなって。自分たちが作っている薬の意義とか課題とかっていうのもより明確に捉えられて、結構研究者さんひとりひとりの向き合い方も変わってくるんじゃないかなと思う」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「ある薬剤の時にすごい自己注射が痛かったんですよね、そういう声がもしかしたらたくさんあって、お医者さんも拾ってくれたからだと思うんですけど、ネットでそういう声が大きかったりすると研究者の人にも届いて改善に繋がっていったりとかするのかなって思って。ちょっとの副作用でも生活に大きな影響があるものはどんどんネットとかSNSでも発信していったら、患者さんの声が大きくなっていくのかなって、いつか届いたりするのかなって思いました。こっちから働きかけられる方法としてそれがあるのかなって。」(クローン病・30代・女性)
(診察の際に医師から)「『今使っている薬にはこういう副作用があるんだけど何か思い当たるふしありますか』みたいな問いかけがあって、それに対して例えば辛さがあったら10段階で10は今すぐ病院にかからないと死ぬみたいな感じ、そういうような尺度を示した上で回答してもらう方法で情報を集められるようにしたらどうかと思いました。それをその医師や製薬会社や薬剤師さんで共有できるようになると、よりそれぞれの専門分野からアドバイスっていうのが患者としてはもらいやすいし、それぞれ連携もしやすくなるのかなと。」(潰瘍性大腸炎・30代・男性)」
【参加したIBD患者さんの声】
「患者さんの実態を知っていただきたい。多分おそらく医者から処方される薬とかで寛解を維持したりとか、痛みを抑えたりとか、そういう部分もあるんですけど、その副作用で苦しんでいたりします。そこをちゃんとわかってほしい。(患者さんの)実態を知った上で、(企業)存続のための利益と患者さんの気持ちの寄り添い方っていうのをバランスとりながら開発を続けていってほしいなって思います。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「直接こうやって実際の患者さんの生の声を聞く機会をもっと増やしてほしいなと思いますね。いろんなところで交流会とか患者会とか開催されていると思うので、そこに製薬会社さんとか薬剤師さんとか参加してくださると、患者としたらすごく嬉しい。皆さん直接伝えたい、知ってもらいたい思いがあると思うので、聞いてもらって新しい新薬とかに取り入れてもらえたら嬉しいです。」(潰瘍性大腸炎・40代・女性)
「こういう機会でいろいろ話が直接できたのはいいかなと思います。やっぱり医者を通しちゃうとそれが違った形で伝わる可能性もあるし、そのままのことを言っているかどうかというのは別の話になってくる気もするので、こういう機会があって、そういう取り組みをしていただけると患者としてはいいかなと。是非患者の声を直接取り込んでいただけると、いい薬ができるのかなという期待を持ちますね」(潰瘍性大腸炎・40代・男性)
「やっぱり医療現場とか製薬の現場の事情とかを患者側は知らないし、患者側のライフスタイルの実態も薬を作っている人たちも知らないので、(このような取り組みを通して)、何か相互理解みたいなところが進んでいくのかなって。どんどんこういう機会を増やして患者さん側も『向こうにもこういう事情があるからできないんだ』みたいなことが知れたら、声の届け方も工夫しはじめるかもしれないって思いました。そういう点では本当に勉強になる機会だったと思います。また機会があったら参加したいです。」(クローン病・30代・女性)
【参加したWorld Cafe参加者の声】
「患者様の生の声を聞く機会は大変貴重であり、この取り組みに参加できてとても良かったと感じています。患者様お1人だけではなかなか難しくとも、同様の悩みを抱えている方の声がこうした取り組みを通じて集まる事で、事態を前に動かす大きな力になれるのではないかと感じました。頂いたご意見を胸に、一層身を引き締めて創薬に取り組みたいと思います。」
「限られた診察では得難い患者さんの思いを伺うことができる貴重な機会であったと思います。治療効果を第一に考えて、薬剤選択をする傾向があったので、副作用をより配慮した薬剤選択を心掛けたいと思います。」
「製薬業界からするとIBD(UCとCD)に対する薬は多数開発されており、臨床ニーズは満たされつつあるのかと考えていました。一方で今回患者さんの声をお聞きすると、薬の候補は沢山があるが、万能薬はなく、副作用が患者さんの大きな負担になっていることが理解できました。患者さんの話を詳しく読ませていただくと、第一選択薬が効かなくなり、医薬品増量あるいは医薬品変更となるケースが結構あるとのこと。この方法は患者さんにさらなる負担を課すことになっていると思いました。結果として感じたことは、IBD医療の現状は、当初思っていたのとは異なり、根本治療薬が無いことあるいは埋められていないピースが存在することが示されているのだと思います。この考えに至れたのは患者さんの声を聴けたからだと思います。このような機会を与えていただいたグッテさんに感謝いたします!埋められていないビースの医薬品開発が実現出来れば、患者さんの薬が減らせて、寛解維持が出来て、再燃も減らせると思います。良い薬を作りたいですね。やる気が出てきました!!」
「副作用をはじめとする患者様の困りごとを、日々の生活の文脈ともに捉えなおすことができ、創薬研究を考えるうえで大変有意義でした。一製薬企業だけで解決できない課題もあることを改めて認識しましたが、 今回のような取り組みを通して患者様と製薬企業、製薬企業同士が協調することで一つずつ解決していけるのではないかと期待しています。」
「特に患者様が抱えるポリファーマシーと副作用に日常的にお困りになられているお話が強く印象に残り、まだまだ至らないところの多さを痛感しました。生の声を頂くことで、治療法の安全性と効果のバランスをより改めて考える貴重な機会を得たと感じております(製薬研究として当たり前の事ではあるのですが)。また、患者様の声から私たちの取組みを理解頂けたことも感じられ、よりこのような機会が増えれば有難いなと感じております。患者中心の治療法開発への道を拓く貴重な機会になると思います。この機会をご提供頂いたグッテさんに心より感謝申し上げます。」
「患者さんの声を直接うかがうことにおいていろいろと制約のある製薬企業にとって、患者さんのニーズをとりまとめて届けてくださる存在はとても大きいと感じました。
こうした枠組みは、さまざまな企業の研究者が組織や企業の垣根を越えてPatient Engagement について考えていく機会を広げていくにあたって、今後も貴重な手段になると思います。」
参考資料
1. World Cafeについて
湘南アイパーク内の製薬企業研究者を中心とした有志団体です。企業間の垣根を越えたコミュニケーションを通じて、新たな繋がり、アイデアの発掘を推進しています。Patient Centricity等をテーマに、グッテ様をはじめとする様々な企業様ともコラボレーションさせて頂いております。
ホームページ:https://ipark-world-cafe.hatenablog.jp/
2. 湘南アイパークについて
湘南アイパークは、2018年4月に武田薬品工業が自社研究所を外部に開放して誕生した、日本初の製薬企業発サイエンスパークです。幅広い業種や規模の産官学が結集してヘルスイノベーションを加速する場となることを目指しており、製薬企業のみならず、次世代医療、細胞農業、AI、行政など約180社、2500人以上(2024年5月現在)の企業・団体が集積し、エコシステムを形成しています。
3. 株式会社グッテ、Gコミュニティについて
米国ミシガン大学留学中に出会った宮崎拓郎(米国管理栄養士・公衆衛生学修士)、鈴木紀之(経営学修士)らが2018年9月に創業した会社です。2019年7月にIBD患者オンラインコミュニティ「Gコミュニティ」を開始しました。Gコミュニティは、IBD患者さんとその家族らを対象とした医療の専門家(医療従事者・研究者)と患者さんが一緒に作るクローズドオンラインコミュニティです。2019年7月にサービスを開始し登録者は2500名を超えています。また2022年11月にはIBD患者さんのレシピを集めた「グッテレシピ」をオープンしました。
グッテホームページ:https://goodte.jp/
Gコミュニティ:https://gcarecommunity.com/
グッテレシピ:https://goodtecommunity.com/
4. 炎症性腸疾患について
炎症性腸疾患は、腸管の粘膜に潰瘍ができる炎症性の疾患です。症状は、腹痛や下痢、下血などで、多くの場合は症状が軽快する「寛解」と悪化する「再燃」を繰り返し、QOL(生活の質)を低下させます。本疾患は、発症メカニズムが未だ解明されておらず、厚生労働大臣により「指定難病」に指定されています。 国内患者数は、潰瘍性大腸炎が約22万人、クローン病が約7万人で、近年、増加する傾向にあります1)。
1)厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班による
「潰瘍性大腸炎の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識」(2020年3月改訂)、
「クローン病の皆さんへ 知っておきたい治療に必要な基礎知識」(2020年3月改訂)
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(2024/05/16 10:55)
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