インタビュー

つらい原因不明の慢性痛
生活にも大きな影響

 明確な原因が分からない痛みが3カ月以上も続くことがある。このような慢性痛患者は、医療機関で診察を受け、画像や血液などの検査を繰り返しても「異常は見つからない」と説明されることにしばしば遭遇する。患者は直接の痛みのつらさに加え、「これがいつまで続くのだろうか」「怖い病気が隠れているのではないか」などといった不安に襲われる。仕事や学業に影響が出たり、高齢者は外出を控えてしまい、社会から孤立したりする可能性もある。

原因不明のつらい痛み

 ◇多様なスタッフで対応

 「痛みが長く続くことで脳や脊髄の神経の働き方が変わり、痛みを感じやすくなったり、脳に痛みが伝わりやすくなったりすることが分かってきた」。日本大学医学部付属板橋病院麻酔科診療教授で、原因不明の慢性痛患者に対する外来も担当している加藤実緩和ケア・痛みセンター長は、こう説明する。

 特に原因不明で、治療しても症状(痛み)が改善しない場合は、問題が深刻化しやすくなる。「これまで診察や検査で異常が発見されなければ、『気持ちの問題だ』とする傾向が強かった。しかし、脳や神経の研究が進むに連れ、『痛み』のメカニズムの複雑さや影響の広さも分かってきた。現在では、そのような痛みには複数の分野の専門医や医療スタッフが協力する『集学的治療』が必要とされている」と強調する。

 ◇問診・診察・説明に3時間

 厚生労働省も、各都道府県でこのような治療を行う医療機関の整備を進めている。加藤医師も週に1日、複数の医療機関で診療を受けた後も原因不明で6カ月以上症状が改善しない患者を受け入れる緩和ケア・痛みセンター専門外来を開いている。この外来は初診患者に対して看護師(1時間)、薬剤師と精神科医(各30分)の順に問診し、最後に加藤医師が1時間かけて問診・診察・説明をする。問診ごとの間には、その場で各診察者が互いに得た情報や気づいた点について共有していく。

加藤実日本大学医学部診療教授

 複数の専門職が時間をかけて多面的な評価をすると同時に、受診した患者が今まで抱いていた痛みなどに対する思いや考えを引き出すことがこの治療の目的だ。加藤医師は「多くの患者は複数の医療機関での治療が有効ではなかったという体験があるので、医療全体に不信感を抱いている。そういった負の意識を吐き出してもらうのも問診の大きな役割だ」と言う。

 ◇4職種の視点からチェック

 4職種の問診・診察のポイントはそれぞれ異なる。看護師はこれまでの治療とその経緯の把握、患者側の認識、患者の日常生活の実態の解明に力点を置く。薬剤師は治療に使われた薬の効果と患者がどの程度服用してきたか、に注目する。「薬の服用中断についても、効果がなくてやめたのか、副作用が厳しくてやめたのかによって意味が変わってくる。確認が必要だ。痛みの程度や推移については看護師と重複して質問することで、多方向から実態把握に努めている」

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