急な高熱と発疹―スウィート病
血液がんの併発も
突然の高熱と皮膚に赤い発疹が表れるスウィート病は病因別に古典型、悪性腫瘍関連型、薬剤性に分類される。とりわけ25%程度の患者に見られる悪性腫瘍関連型については、白血病や骨髄異形成症候群などを合併することが多く、「治療後の観察がとても重要です」と大阪市立総合医療センター皮膚科の深井和吉部長は話す。
急な高熱や上半身に表れる赤い発疹が特徴的
▽過剰な免疫反応が誘因
スウィート病は、白血球の一種である好中球の増加に伴い突然に発症する。白血球中に占める好中球の割合は検査機器により微妙に異なるが、同センターでは40~67%を基準値としている。「スウィート病では90%前後まで上昇します」と深井部長。好中球には、体内に侵入した細菌などの異物を排除する免疫機能がある。好中球の増加による過剰な免疫反応がスウィート病の誘因と考えられているが、なぜ好中球が増えるのかについては分かっていない。
スウィート病の症状は、39度前後の急な発熱、高熱に伴う倦怠(けんたい)感や関節の痛みのほか、直径1センチ程度の赤くて触るとやや固い複数の発疹が顔、首、腕など主に上半身に表れる。発疹は周囲との境が明瞭で盛り上がり、中心部は軟らかく、水疱(すいほう)のように透き通っている。30代以降の女性に発症しやすいが、患者数はそれほど多くない。
▽治療後も経過を観察
スウィート病の診断は、血液検査と発疹の形状から行う。「血液のがんと呼ばれる白血病や、正常な血液が作られにくくなる骨髄異形成症候群の前触れとして、好中球が増え、スウィート病として表面化するケースがあります。ほかの疾患が隠れているということを前提に血液検査を行います」と深井部長。
スウィート病は自然に治る疾患ではなく、高熱、食事が取りづらいという点からも、10日ほどの入院が必要になる。治療はステロイド薬を内服し、症状の改善に合わせて薬の量を減らしていく。
スウィート病は一過性であり、ほとんどが完治する。しかし、治りにくくステロイド薬の内服をやめられない、再発を繰り返すという場合は、白血病や骨髄異形成症候群が潜んでいる可能性を念頭に置いて、治療後も観察を続ける必要がある。
「発熱を伴った発疹があり、予防接種や採血などの翌日に注射針を刺したところに赤いニキビのようなものができるようであれば、スウィート病を疑って皮膚科を受診してほしい」と深井部長は話している。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/01/02 08:00)