治療・予防

PCR検査に課題も
臨床の専門医が提起

 新型コロナウイルス感染症をチェックするためには、PCR検査(用語説明参照)が欠かせない。感染の確認や症状が消えて退院してよいかどうかの場面でも、喉や鼻の奥(咽頭部と鼻腔)、たんなどを採取してウイルスの有無を確認するPCR検査の結果が判断基準とされている。
 「PCR検査が足りなかったのではないか」との批判を受け、政府は検査数を増やそうと躍起だ。しかし、臨床現場では、症状が消えて治癒と判断してからもPCR検査では週単位でウイルスが一定数以上検出されたり、逆に一度陰性と判定されてからも再び症状が現れてしまったりする例などが報告され、PCR検査の課題も指摘されている。

板橋区PCRセンター(東京)での検査のデモンストレーション

 ◇検査、7~9回も

 横浜市立大学附属病院が、日本感染症学会に報告した事例もその一つだ。患者は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船していた60代と30代の男性で、発熱や呼吸障害などの症状は入院後1週間程度で消えたが、その後もPCR検査では長期間陽性が継続した。

 2人とも入院時には発熱やせきがあったほか、胸部の画像検査で肺炎を疑われ、抗菌剤や酸素投与などの治療を受けた。症状が消えた入院10日前後から30日の間に退院に向けてPCR検査を7~9回検査を受けたが、陽性が続き退院まで1カ月以上かかった。

 このうち60代男性は入院から21日目の検査まで、検査ごとに差はある中でウイルスが感染している状態を示す陽性の結果が続き、23日目の検査で喉や鼻の奥のウイルス量は急速に減少したが、たんに含まれるウイルス量は増加した。一方、30代男性は13日目の検査から喉や鼻の奥のウイルス量は急減したが、たんのウイルス量は低いまま25日目まで検出が続いた。容態が安定して臨床的な症状が消えたにもかかわらず、1カ月以上も退院できずに、精神的にも大きな負担となっていたという。

大阪府での「ドライブスルー方式」のデモンストレーション

 ◇重症者、回復後の受け入れを

 診療に携わった同病院感染制御部の加藤英明部長は「この2人以外にも同様の事情で長期入院となった患者が複数いた」と話す。同様の入院の長期化は他の医療機関でも生じているといわれ、症状が消えても退院できずに入院を続ける患者の増加が、軽症者の入院と同様に治療が必要な患者の病床確保に影響を与えることが危惧されている。

 東京都は、回復した患者を病院から自宅に返すまで一定期間、軽症者や無症状者の療養用に複数の借り上げホテルの一部で療養させる対策を講じた。加藤部長は「実際に重症で入院した患者が回復した後どうするか、無症状や軽症の人の宿泊施設のような受け皿が必要だ」と指摘している。

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