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女性のアスペルガー症候群

 アスペルガー症候群(AS)は、発達障害に属する自閉症スペクトラムの一種で、女性よりも男性に出現するケースが多いと言われている。一般的に知られている特徴の多くは男性に表れるものだ。ASの女性たちを幼少期から診療している、どんぐり発達クリニック(東京都世田谷区)の宮尾益知院長は「女性のASには男性とは違う特徴があります。本人も周囲も正しく理解することが必要です」と話す。

 ◇女性特有のAS

 女性のASは、幼少期にはほとんど気付かれない。宮尾院長は「女子は男子よりも社会性が育ちやすく、言葉の遅れも見られにくいので、ASと診断されることはあまりありません」と話す。

 小学校5~6年から中学生くらいになると、女子グループがワイワイと話す、いわゆる「ガールズトーク」に入れず、場の空気を読めずにピント外れの会話をしがちになる。「相手の気持ちや暗黙のルールが分からず、気付かないうちに周囲を怒らせ、いじめの対象となるケースもあります」

 変化を受け入れることも苦手だ。思春期の頃は、大人へと成長する体に気持ちが付いていかず、体調不良を訴えることが多くなる。「身体的な不調が強く、心身症と診断されることもあります」と宮尾院長。

 恋愛でも、非言語で進む男女間の「会話」を察することができず、トラブルに巻き込まれたり、性被害に遭ったりすることも。結婚し出産した後は育児に戸惑い、育児を放棄したと報告される例を、宮尾院長も幾つか見てきているという。

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