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熱中症、重症化の恐れ 
気温37度超は「災害」

酷暑が増加するにつれて増加する重症熱中症での救急搬送=済生会横浜市東部病院提供

酷暑が増加するにつれて増加する重症熱中症での救急搬送=済生会横浜市東部病院提供

 ◇体温43度の患者も

 救急搬送された患者に対応する同病院の救命救急センター長の船曵知弘医師は「最も体温が高かった患者は43度だった。この状態で一定時間放置されていると脳機能にも障害が生じるため、救命措置は厳しかった」と言う。

 人工呼吸や透析、凝固異常による出血に対する輸血なども必要となった熱中症患者もいた。同医師は「このように重症化すると、たとえ救命に成功しても一定期間の入院治療が必要になってしまう。『たかが熱中症』ではなく、非常に重い、命に関わる状態になると認識してほしい」と話している。

船曵知弘医師

船曵知弘医師

 ◇コロナの影響で患者集中

 今年は、新型コロナウイルスへの対策も求められている。発熱や倦怠感など熱中症と似た症状があるため、救急搬送された患者に対しても「新型コロナの感染を疑って、高機能マスクや感染防御着を装用する必要がある」と船曵医師。さらに患者は感染を防ぐために特別なスペースに収容する。医師や看護師も他の患者の診療ができなくなるので、救命現場での負担は大きくなっている。

 船曵医師によれば、昨年まで熱中症患者の救急搬送を受け入れていた医療機関でも、新型コロナの感染拡大を恐れて患者の受け入れを停止している施設もあるという。船曳医師は「結果的にこの病院のような高度医療機関に熱中症患者が集中してしまう。この状況が続けば、他の病気や外傷の患者の受け入れに支障が生じる恐れもある。医療機関同士の連携がより求められている」と話している。(喜多壮太郎)

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