治療・予防

マスク・手洗い、きちんとできていますか?
新型コロナ、感染制御の看護師に聞く

 2度目の緊急事態宣言が出されるなど、新型コロナウイルス感染症の拡大で、マスクの使用や手洗い・手指の消毒の徹底が当たり前になった。しかし、毎日繰り返していく中で、形だけの自己流で効果が薄くなっていたり、手順が抜け落ちてしまったりしていないだろうか。年が変わっても、新型コロナの感染が収束する気配はない。日々、多くの感染症の管理に携わっている東京 医科大学病院(東京都新宿区)感染制御部の感染管理認定看護師に、日常の衛生管理を改めて確認してもらった。

 ◇ちゃんと着けないと効果低下

スタッフの教育に使われている間違ったマスクの装着例 (東京医科大学病院 感染制御部提供)

 「呼吸器感染症の多くは飛沫(ひまつ)を介して感染するので、マスクを正しく使うのは感染予防の基本。正しい着け方を知ってほしい」

 感染管理認定看護師で感染制御部の早川司子・看護師長は、こう話す。

 マスクは言ってみれば、飛沫などを遮断するための道具だ。飛沫を飛ばさないと同時に、浴びることを防ぐ目的がある。最も多い間違いは、マスクを下げて鼻を出していることだ。「マスクは必ず鼻が隠れているか確認してほしい」と早川師長。また、マスクを外した際にも注意が必要だ。マスクにウイルスが付いていることを想定して、食事やうがいなどでマスクを外す際は『裸』でポケットにしまうようなことをしないで、何かに包んでほしい」と付け加えた。

 ◇マスクの選択をどうするか

 早川師長は「医療現場で使う不織布製の『サージカルマスク』を使い捨てるのが、一番理想的だ」と言う。 布マスクなどを繰り返し使用する場合には、清潔にするように気を付けたい。同時に「どんな素材であっても、当然ながら、マスクを着けないでいるよりは着けた方が感染を防ぐ効果はある。屋内で複数の人がいる場面、 特に1メートル以内の距離で接する場面ではマスクをするべきだ」と指摘。その上で「マスクをすると息苦しいと感じてしまう人もいるだろう。ガーゼや木綿、化繊などさまざまな素材のマスクが流通しているが、機能性と快適性を考えてマスクを選択してほしい」と話している。

白く光っていない部分はアルコール消毒剤が塗りきれていない(東京医科大学病院 感染制御部提供)

 ◇正しい指の洗い方は

 感染予防のもう一つの柱である手洗いや手指消毒でも、意外と知らないことは多い。

 「アルコールを含む消毒液は使いやすく効果的。ただ、水とせっけんによる手洗いも効果がある。ノロウイルスのように、アルコール系の消毒薬が効きにくいウイルスもある。そのため、トイレの後は、できるだけ流水とせっけんでの手洗いをするように勧めている」。同じ感染管理認定看護師の奥川麻美主任看護師は、こう切り出した。

 問題は、その使い方だ。アルコール消毒液を手のひらに付けて指先に広げたり、手指全体を消毒できていたりするだろうか。「大切なのは、 指の先や間、手の甲、爪の先まで消毒したり、洗ったりすること。特に、忘れがちなのが親指だ。 消毒薬を十分使用して手指全体に塗ることが大切」とアドバイスする。

 ◇トイレの消毒忘れずに

 家庭では、手洗いだけでなく、家族が繰り返す触る場所の消毒も心掛けたい。そこで、注意したいのがトイレだ。「便器の水洗レバーをはじめ、ドアノブや水道のカランなどは定期的に消毒することで、家庭内感染のリスクを少しでも抑えることができる」と奥川主任看護師は言う。

 このような対策は新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザやノロのウイルスなどにも基本的に有効だ。消化器に繁殖するノロウイルスはカキなど二枚貝 の生食で感染するといわれており、患者のふん便や嘔吐(おうと)物に含まれるウイルスが乾燥・飛散し、それを吸い込んで感染する事例も多い。アルコール系消毒剤が効きにくい上に、極めて少数のウイルスを体内に取り込んでも発病するため、冬場にしばしば集団感染を起こしている。

 ノロウイルスに有効な塩素系消毒剤は、人の皮膚には有害で、せっけんを使った手洗いを徹底するしかない。嘔吐物や下痢が付着したタオルなどは、塩素系消毒剤を振りかけてから、使い捨ての手袋とマスクを着用して新聞紙など不要な紙で包み込み、二重にしたポリ袋に入れ、 きちんと 封をしてから捨てる。「子どもも含めて、嘔吐や下痢が続いている家族が複数いる場合は、トイレの消毒も忘れないでほしい」と、早川師長は注意喚起している。(喜多宗太郎・鈴木豊)


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