治療・予防

性欲と無関係に起こる持続勃起症
緊急治療要することも(東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター 永尾光一センター長)

 性的な欲求や興奮とは無関係に、勃起した状態が4時間以上継続する状態を「持続勃起症」と言う。原因はさまざまだが、早急に治療しないと勃起不全になるケースもある。東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)リプロダクションセンターの永尾光一センター長に聞いた。

放置は禁物。おかしいと感じたら速やかに泌尿器科へ

 ▽強い痛み伴う「静脈性」

 勃起は、陰茎内の海綿体に血液が流れ込むことで起こる。海綿体は糸のように細い血管が無数に集まったスポンジ状の構造になっている。性的刺激によって脳の中枢神経が興奮し、その信号が神経を介して陰茎に伝わると、海綿体を通る動脈が緩み、血液の流入が始まる。一方、静脈は圧迫されて狭まり、流れ込んだ血液が出ていかないようにして、勃起を維持している。

 持続勃起症は、この仕組みに障害が生じて起こる。海綿体内の血流が止まった虚血状態になる「静脈性持続勃起症」と、動脈が傷ついて破れたために血液が海綿体に常に流れ込んでしまう「動脈性持続勃起症」とがある。

 静脈性の原因は、向精神薬や陰茎海綿体注射(勃起不全治療の一つ)による副作用、白血病や悪性リンパ腫などの病気があるが、原因不明なことも多い。一方、動脈性の原因は、会陰部をぶつけるなどの打撲傷が多い。注意すべきは静脈性で、放置すると海綿体は、酸素を含む血液が流入せずに低酸素状態となり、壊死(えし)が起こり勃起不全に陥ってしまう。

 「静脈性と動脈性は、勃起が完全か不完全か、痛みを伴うか否かで、ある程度は判断できます。強い痛みを伴う完全な勃起状態が4時間以上続く場合、静脈性持続勃起症が疑われます」と永尾センター長は説明する。

 ▽必要に応じて手術も

 診断には、海綿体内の血液の酸素の量(酸素分圧)を測定する。酸素分圧が高い場合は動脈性、低い場合は静脈性と鑑別できる。超音波検査を用いて診断することもある。

 静脈性持続勃起症の場合は、緊急治療となる。海綿体内にたまっている血液を吸引し、血管収縮薬を海綿体に注射する。それでも改善しなければ、血液を逃がす道を作る手術(シャント手術)が行われる。動脈性持続勃起症なら緊急治療の必要はなく、止血薬の内服、患部の圧迫や冷却などの処置で様子を見る。それでも改善しなければ、打撲傷により出血している陰茎内の動脈をふさぐ手術(塞栓術)を行う場合もある。

 持続勃起症は50歳未満に多く、特に白血病による静脈性持続勃起症は若年層に多い。「背景に他の病気が隠れていることもあるので、おかしいと思ったら放置せず、速やかに泌尿器科を受診してください」と永尾センター長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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