治療・予防

胎児期に生じる性分化疾患 =正しい理解で受け入れを

 胎児期の性別を決定づける過程で問題が生じ、男女の判別が難しい状態で生まれてくる性分化疾患は「病気自体がよく知られていないため、偏見に苦しむ患者も少なくない」として、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)内分泌代謝科の堀川玲子医師は正しい理解を呼び掛けている。

 ◇性の分化に問題
 胎児期の性は3段階で分化する。まず、性染色体の男性型(XY)か女性型(XX)で遺伝的な性が決定。次に「性腺」と呼ばれる部分が遺伝的な性に基づいて、精巣や卵巣へと分化する。最後に男女それぞれの性器が形作られる―。これが大まかな性の分化のプロセスだ。

 性分化疾患とは、この一連のプロセスに問題が生じる病気。通常なら性染色体、性腺、性器は男女いずれかの性で統一されているが、性分化疾患ではそれぞれの性が食い違っていたり、あいまいだったりする。例えば、性染色体は女性型で、子宮も膣(ちつ)もあるが、卵巣ではなく精巣があるケースや、精巣と卵巣の区別があいまいなケース、どちらも併せ持っているケースなどだ。

 性分化疾患とはこうした60種類以上もの疾患群の総称で、体の状態や症状はさまざまだ。「性別はアイデンティティーに関わる問題。生きづらさを感じている方も少なくありません」と堀川医師は話す。

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