家族が陥りやすい「介護うつ」=サービス利用で「手」増やして
高齢化の進行で、介護を行う人の数が急増している。その負担は大きく、自宅で介護をしている人の4人に1人は「介護うつ」ともいわれている。順天堂大学医学部付属順天堂東京江東高齢者医療センター(東京都江東区)の一宮洋介副院長は「さまざまなサービスを上手に利用して、一人で頑張らないことが大切です」と呼び掛ける。
◇介護負担で心身不調
厚生労働省の2013年の統計によると、介護者の約6割が介護される人(要介護者)の配偶者や子ども、子どもの配偶者ら同居の家族だ。仕事や家庭生活への影響など、介護者の負担は重く、一宮副院長は「心理的、身体的、経済的なストレスが、介護うつの発症に関わっています」と話す。
介護を完璧にこなそうとする人や、一生懸命取り組む人ほど発症しやすく、要介護者が若い場合は長期にわたるため経済的な負担も大きくなる。主な症状は一般的なうつ病と同様、疲れやすい、眠れない、食欲が無いなどの他、おなかの調子が悪い、生理不順など心身の両方に不調が表れる。
「介護うつにならないためには、各種サービスを利用して『介護の手』を増やすことが大切です」と一宮副院長。地域包括支援センターや行政の介護相談窓口に問い合わせたり、認知症疾患医療センターに指定されている医療機関に相談したりして、あらかじめ情報を得ることが大事だという。
(2017/10/24 10:57)