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幸せって何? 心の方向性を考えてみよう 第7回

 先日内閣府が国民の生活満足度の調査を発表しましたが、「満足」「まず満足」と答えた人の合計は、およそ70%でした。「あなたは生活に満足していますか」と聞かれても、答えるのはなかなか難しいですよね。経済的に苦しくても「健康だからいいや」とか、会社では苦労しているけれど「家族関係がいいから」などと考え、「まあまあかなあ」という結論を出す人が多いと思いますがいかがですか。

 このように、一つの質問で幸福感や生活満足度を測るのはなかなか困難です。このため心理学領域では、人生の満足度や生活満足度を測るため複数の質問から成る尺度が使われます。有名なのは米国の心理学者エド・ディーナーらの人生満足度尺度というものです。

 これは、▽ほとんどの面で、自分の人生は理想に近い▽私の人生はとても素晴らしい状態だ▽私は人生に満足している▽私はこれまで、自分の人生に求める大切なものを得てきた▽もう一度やり直せるとしてもほとんど何も変えないだろう―という五つの質問に対し、「全く当てはまらない」から「非常にあてはまる」まで7段階で答えてもらい、点数を付けて満足度を評価するというものです。

 心理学的に最も使われている尺度ですが、これが正当性を持つには、人がさまざまな体験を一つの数値としてまとめ上げる能力があること、素直に自分の人生を数値として評価することが前提とされています。

 「人生に満足しているか」「生活に満足しているか」と聞かれ、頭にまず浮かぶのは経済的な状況でしょうか。経済的に満たされれば、生活満足感は保たれるという感じがしますね。確かにその通りで、所得が低く生活が厳しいなら、生活満足感を得ることは難しいでしょう。ただ収入が増えれば、単純に生活満足感が上昇し続けるとは言えません。

 ノーベル経済学賞を受賞した米国の心理学者ダニエル・カーネマンによる2006年の発表では、年収200万ドル以下の場合、常に幸せな人は22.2%にすぎないが、500万~899万ドルでは41.9%にアップするそうです。しかし、900万ドル以上では42.9%とほぼ頭打ちの状態。つまり年収が500万ドル、日本円で650万円ぐらいまでは、収入増に応じ生活満足感も上昇します。しかし、それ以上収入が増えても、満足感はあまり上がらないというわけです。

 生活水準が上がっても、また新たな不満が出て欲求が絶えない、ということが背景にあるようです。高額宝くじが当たっても満足感は持続しないことも知られています。衣食住の基本で生活がきちんとできるだけの収入を得ることは、生活満足感をキープする大事な要素。それを達成したら、お金や地位とは異なる自分の内的充実を図ることを考えるように、心の方向性を変化させることが人生満足度を上げる要素と言えそうです。

(文 海原純子)

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