治療・予防

下痢や腹痛伴う潰瘍性大腸炎=難病でも早期治療で症状緩和

 「潰瘍性大腸炎」の患者が増加している。厚生労働省指定の難病だが、近年は治療法の進歩により、難治性の場合でも普通に日常生活が送れるようになっている。兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)炎症性腸疾患内科の中村志郎(なかむら・しろう)教授に聞いた。

 ◇原因不明の腸疾患

 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にただれやびらん、潰瘍などができる炎症性の病気だ。体内に侵入したウイルスや細菌などを排除しようとする免疫機能が、誤って腸の粘膜を異物として攻撃することで起こる。炎症は直腸から徐々に広がり、大腸の大部分を占める結腸全体に及ぶ場合もある。

 症状は下痢や粘血便、持続的な腹痛など。重症になると発熱貧血が生じやすい。原因は不明だが、家族に潰瘍性大腸炎の患者がいると発症率が高まることから、遺伝的な素因も関係していると考えられている。

 2014年度の厚生労働省の調査では患者数は約17万人、年間1万5千人ほどが新たに発症している。その多くが10~40代と比較的若年で発症しているのが特徴だ。

 中村教授は「原因が特定されていないので完治は難しいのですが、症状が治まる寛解(かんかい)の状態を長期間維持する新たな治療がいろいろ登場しているので、症状が改善しにくい患者さんでも通常の社会生活を送ることができるようになりました」と話す。

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