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進歩続くパーキンソン病治療
運動療法、早期から継続を―国立精神・神経センター


 運動は患者の特性に合わせて

 パーキンソン病運動療法は、患者の特性に合わせたトレーニングが求められる。

 例えば、患者は前かがみになって歩幅が狭くなり、突進するような動きになることがあり、転倒しやすい。転倒すると「また転ぶかもしれない」といった不安が募り、さらに足がすくんでしまう。転倒による骨折の割合は、健常高齢者の3・4倍になるとの調査報告もある。

 研修会では患者の特性に合わせた運動療法が紹介された

 小林医長は「前傾姿勢が習慣になると、筋肉が萎縮して、姿勢の修正が困難になるなど、気づかないうちに悪循環に陥る。なるべく、体が非常に硬くならないうちにトレーニングを行いたい」と話す。

 運動の種類は、筋力エクササイズ、ウオーキングなどの有酸素運動、ストレッチなどだ。同病院は発症早期の患者にもこうした運動療法を施し、病院でのリハビリ期間終了後も自主トレを続けるよう指導する。

 トレーニングのポイントは、大きく分けて3点。腹筋のように曲げる筋肉(屈筋)よりも、背筋などの伸ばす筋肉(伸筋)を使うこと偏った姿勢が癖にならないよう、良い姿勢とのずれがないかチェックすること力を抜いてリラックスすることだ。

 ◇楽しく続けられる工夫を

 患者が意欲を持って楽しく自主トレを続けられるような工夫も大切だ。

 「運動療法は効果があるので、日常的に続ける必要がある」と小林庸子医長

 今回の研修会では、良い姿勢かどうかをスマートフォンで動画撮影し、見てもらいながらトレーニングする「お風呂で背中を洗いやすくなった」といった成果や数値で改善効果を意識してもらうといった方法が紹介され、小林医長は「家族も、背中が丸まっていると指摘するだけでなく、どう直すかアドバイスし、ほめることで参加してほしい」と話した。

 リハビリテーション医療の現場では、脳卒中のような急性発症疾患への対処が優先され、神経難病患者への対応には限りがあるのが現状。一方で介護保険は、症状がある程度重くならないと使えない。そうした中、発症早期からの運動療法をいかに定着させるかは大きな課題。「自主トレを1人で続けるのは難しい」という声に応え、医療保険や介護保険外のサービスとして、患者向けの運動教室を展開する動きもある。

 日本神経学会は今春にも、パーキンソン病治療の新しいガイドラインを公表する。薬の効果を100%生かすためにも、処方箋通りに服薬した上で、規則正しい生活を送る。そして、運動不足に陥ったり、うつや不安によって症状が悪化したりしないよう注意し、適切な対応を取る。こうした望ましい治療を普及させ、治療効果をさらに改善していくため、現場の模索は続く。(水口郁雄)


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