Dr.純子のメディカルサロン

大阪北部地震の教訓を考える

(2)家族への連絡手段確認

 皆さんは地震などの災害が発生し、自分の無事を家族や友人に伝えるとき、あるいは災害発生エリアと近い家族や友人の安全を確認したいとき、どのような手段を使うでしょうか。

 LINEやFacebookメッセンジャーなどのSNS(インターネット交流サイト)で連絡を取ったという方も多いと思います。私もLINEを常用していますが、東日本大震災が発生した2011年にはまだLINEが存在していなかったことを考えると、世の中の環境変化に驚かされます。

 一番やってはいけない行為は、電話(固定電話・携帯電話)をすることです。これは、東京都が発行している『東京防災』という冊子にも掲載されています。発災直後は、安否確認の電話が急増し、電話回線がパンクすることにより、緊急電話が通じなくなってしまうからです。

 東日本大震災の際に、NTTドコモ、au、ソフトバンクなど大手キャリアの通話は最大で70%から95%制限されたそうです。「LINEだってパンクする可能性があるんじゃないの?」と思われる方もいると思いますが、「通話」と「パケット通信」は仕組みが異なるので、後者はパンクしにくいのです。大阪北部地震では、LINE通信量が普段の5倍に達したそうですが、特に不具合は発生しませんでした。

 安否情報を近しい人に伝えないでいると、そうした方から安否確認の電話がかかってきて、電話回線を無駄に消費することにもつながってしまいます。被災地域付近にいて無事だった人は、できるだけ早く、LINE、FacebookなどのSNSやメールなど「電話によらないツール」で連絡することが大事です。

 そういう私も、静岡の母から大阪北部地震当日、「無事かどうか」という電話をもらってしまいました。「大阪で発生した地震なので、京都も揺れたものの大した被害はなく大丈夫だろう」と私は思いましたが、遠方に住む人からすれば関西一円が心配なのでしょう。(京都市内でも負傷者や建物損壊などの被害は出ました)

 関西に下宿している学生のみなさんも、親御さんが遠方にいらっしゃる場合には(できる限り電話によらない方法で)安否を伝えてあげてください。

 他に「電話によらない」連絡手段としては、NTTの「災害用伝言ダイヤル(171)」があります。「インターネットが使えない遠方の家族・知り合い」には特に便利です。いざというときは171に登録することを予め伝えておきましょう。ウェブ上でも伝言の登録、確認ができます。

「東京防災」(東京都総務局総合防災部防災管理課、2015年)※赤丸は筆者によるもの


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