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新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから1年余りたったが、いまだに動悸(どうき)や胸の圧迫感といった後遺症に悩む人は少なくない。北海道循環器病院(札幌市中央区)の大堀克己理事長に話を聞いた。
後遺症の主な症状
◇心臓の細胞に侵入
厚生労働省の調査によると、2020年1月~21年2月に新型コロナと診断され入院歴のある人の26%は、診断から2年後も症状が残っていた。せき、息切れ、疲労・倦怠(けんたい)感、記憶障害、集中力低下、味覚障害、嗅覚障害などで、罹患(りかん)後症状とも呼ばれる。心臓に関連するのは、動悸(どうき)、胸痛(胸の重苦しさや圧迫感を含む)、頻脈など。息切れや倦怠感が心臓に起因する場合もある。ただし、喉や鼻の粘膜に感染するウイルスがなぜ心臓の症状を引き起こすのか、完全には分かっていない。
メカニズムの一つとして、「ウイルスが心臓や血管の細胞に侵入し、心臓の筋肉や心臓を覆う膜に炎症が生じたり、血管に血の塊(血栓)ができたりして、息切れ、胸の痛みなどにつながるのではないか」と考えられる。
動悸や頻脈は「自律神経の一つで、体が活発に動くときに優位になる交感神経の働きによるのではないか」と大堀理事長。一方、後遺症で仕事ができないことやそれによる経済的な不安で、うつに似た症状を来すこともある。
◇若年者や女性が多く
同院は、24年7月まで心臓後遺症の専門外来を開設していた。新型コロナの後遺症が心不全のリスクを高める可能性があり、対応の必要性を認識したからだ。
「専門外来には3年間で400人以上が受診しました。40代までの若年者や女性が多く、他院の報告と似ています」
治療法については「決定打はありませんが、血圧を下げて心臓を保護するACE阻害薬、交感神経の活動を抑えるベータ遮断薬、抗不安薬、漢方薬などが使用されています」。運動が効果的で、速足での散歩なども勧める。
後遺症の改善には、「数カ月から1年かかることもありますが、多くの場合、やがて良くなると考えてよいでしょう」と大堀理事長は話す。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/11/07 05:00)
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