A群溶血性レンサ球菌咽頭炎〔えーぐんようけつせいれんさきゅうきんいんとうえん〕 家庭の医学

 レンサ球菌には赤血球を破壊する溶血素を産生するものとしないものがありますが、溶血素を産生するものが溶血性レンサ球菌です。このなかで血清型(抗原性)がA群のものは病原性が強く、また感染後、リウマチ熱糸球体腎炎を起こすことがあり、A群溶血性レンサ球菌として注目されています。
 この菌は、幼児や学童期に咽頭炎を起こすことが多く、高熱、咽頭痛、扁桃(へんとう)・咽頭の炎症、頸部(けいぶ)リンパ節炎、いちご状の舌などがおもな症状で、時に発疹(ほっしん)を伴うこともあります。
 A群溶血レンサ球菌感染症の発疹は、細かな粟(あわ)粒状の紅い小丘疹(しょうきゅうしん)で、全身に出現しますが、口の周囲には発疹がなく白く見える部分があって口囲蒼白(こういそうはく)と呼ばれています。

 治ったあと、1~2カ月後に関節炎または浮腫、血尿などがあれば急性糸球体腎炎を合併した可能性があるので、早期に医師に相談するとよいでしょう。感染経路は飛沫(ひまつ)感染が主で、潜伏期は短く1~2日です。
 同じ菌で全身に発疹がひろがった病態は猩紅熱(しょうこうねつ)と呼ばれています。
 特別な予防法はなく、外出後のうがいがよいと考えられています。
 治療にはペニシリンを中心とした抗菌薬が有効ですので、医療機関で適切な診断と治療を受けてください。

【参照】子どもの病気:溶連菌感染症

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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