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新入園児、繰り返し感染症に
~働く親苦慮、職場の理解・支援が不可欠~

こどもとおとなのクリニック パウルームの黒木春郎院長

こどもとおとなのクリニック パウルームの黒木春郎院長

 ◇重要な家庭内感染防止

 生まれて間もない赤ちゃんは感染に対して非常に脆弱(ぜいじゃく)で、重症化しやすい。そのため、生後3カ月ごろまでは人混みに出ない方がいいとされている。黒木医師は「外では何をもらうか分からない。成人だと風邪で済むものが、赤ちゃんの場合は済まなくなる」と懸念。生後3カ月までに発熱していて機嫌が悪い場合は重篤な疾患の可能性があるという。

 生後間もない赤ちゃんがいる家庭では、家庭内感染にも気を付ける必要がある。同医師は「完璧に防ぐには別居するしかないが、現実的ではないので、熱が出て症状が次々に表れる急性期はできるだけ離す。せきや鼻水が出ているときは2メートル離す」と対策を説明する。インフルエンザなどワクチンがある感染症は「親を含めて接種を。予防できる病気は予防することが基本だ」と予防接種を促す。

 また、おむつ着用の子どもに下痢の症状がある場合、おむつを取り換える場所を事前に決めるほか、扱う人は手袋やマスク、眼鏡を着用することも大事だ。使用済みのおむつは二重に包み、早く捨てる。トイレを使う子どもの場合は水を流す際に飛沫(ひまつ)が飛ぶのを防ぐため、ふたを閉めることも感染対策になる。外出時のマスクと眼鏡の着用、帰宅した際のうがいと手洗い、鼻の洗浄も有効という。

 加えて、感染症にかかった場合に備えて、インフルエンザ新型コロナの検査キットを自宅に常備しておきたい。黒木医師は「100%診断できるわけではないが、だるくなってきたときにはってでも病院に行くのは難しい。陽性であればオンラインで診察を受ければいい」と話す。

 ◇子どもの反応・様子で緊急性判断

 かかりつけの小児科の休診日や夜間に子どもの体調が悪くなることもよくある。その際、親は救急診療などに連れて行くかどうか悩む。黒木医師は「普段診ている先生に診てもらうのが一番いい」としつつ、「子どもの反応が悪い、呼吸が苦しく機嫌が悪い、食事や水分が取れない、激しくせき込むといった場合はすぐに小児科に行った方がいい」と助言する。また、そうした事態に備え、「これ以上悪くなったときにどうしたらいいか」「どういうふうになったら悪い状態か」を具体的に聞いておくよう求める。

 大正製薬の担当者は「急な発熱で休んだり早退したりするには、上司や同僚の理解やサポートが欠かせない。周りに負担がかからないよう、日頃から業務について情報共有しておくことも重要だ」と話していた。(江川剛正)

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