マイコプラズマ肺炎〔まいこぷらずまはいえん〕 家庭の医学

 肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)の感染によって起こる肺炎です。肺炎マイコプラズマは培地上で自己増殖可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類されています。
 潜伏期は通常2~3週間で、発熱、全身倦怠(けんたい)、頭痛などの初期症状で始まり、初発症状出現後3~5日からせきがみとめられるようになります。経過に従い、せきは徐々に強くなり、解熱後も長く続きます。幼児期、学童期、青年期が中心で、5~6歳以上の小児の肺炎のなかでもっとも頻度が高い疾患です。
 肺炎マイコプラズマは細胞壁をもたないので、ペニシリンやセファロスポリンなどの細胞壁合成阻害により抗菌活性を発揮する抗菌薬には感受性がありません。菌体内に入り込んで細菌のたんぱく合成を阻害するマクロライド系、テトラサイクリン系抗菌薬、DNAの合成を阻害するキノロン系抗菌薬が有効です。近年、マクロライド系抗菌薬に耐性を示す肺炎マイコプラズマが増加して問題となっています。

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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