一流に学ぶ 「女性外来」の先駆者―対馬ルリ子氏

(第9回)
女性トータルヘルス、紆余曲折経て実現
都内にクリニック開業

 ◇双子の妹と再会、仕事仲間に

 祖父の知人の娘として育てられ、対馬氏とは約30年間音信不通だった双子の妹も、現在は薬剤師の資格を持つサプリメントアドバイザーとして仕事に加わる。妹の育ての父親が亡くなったことをきっかけに、2人が33歳の時に再会を果たしたのだ。

 クリニックの患者は10~80代と幅広く、娘や母親を連れて受診する女性も多い。多くは月経トラブルや精神的不安定、頭痛、腹痛、めまい、などいくつものトラブルを抱えて、どこの病院でも良くならなかった人たちという。

 「ここでは患者さんのお話をじっくり聞き、他科の先生と連携しながら寄り添うので、患者さんが自分を取り戻していくんですよ。親戚の家みたいな感じで来てくれる人が多いですね」

 手術が必要な患者を病院に紹介したり、逆にがん治療後のフォローアップや産後のケアを頼まれたりすることも多い。「ドメスティックバイオレンスや性被害を受けた人たちの窓口にもなっています。婦人科やメンタル、内科疾患を複合的に抱えている女性が多いので、よくよく話を聞くと背景が見えてきます」

 12年には新宿の百貨店地下に「女性ライフクリニック新宿」を開設。働く女性や主婦が買い物のついでに気軽に健康相談や検査、低用量ピルなどの処方を受けられる場をつくった。紆余(うよ)曲折を経て、最終的には学生時代からの夢だった女性のトータルヘルスケアの仕事に取り組む環境を実現した。(ジャーナリスト・中山あゆみ)

→〔第10回へ進む〕理念共有へ、勉強会でレベルアップ図る=女性医療ブームに危機感も

←〔第8回に戻る〕遅い受診、残念な思い強く=晩婚化で、足遠のく産婦人科

  • 1
  • 2

一流に学ぶ 「女性外来」の先駆者―対馬ルリ子氏