一流に学ぶ 「女性外来」の先駆者―対馬ルリ子氏
(第10回)
理念共有へ、勉強会でレベルアップ図る
女性医療ブームに危機感も
対馬ルリ子氏らが女性のための医療センターを立ち上げた2001年には、千葉県立東金病院が女性外来を開設した。女性外来はその後、時代のニーズをつかんで、全国の国公立病院、地域の中核病院、大学病院にも設けられ、03年ごろまでに瞬く間に広がった。
対馬氏が医師になったばかりの頃、「産婦人科は女性医師には無理」などと言われたが、いまや「女性医師でなければだめ」とまで言われる時代になってきたのだ。
「『先生のおかげで私たち、高く売れるようになりました』と若い女性医師から言われることがあります。そう言ってもらえるのはいいのですが、半日10万円とか極端に高い給料で若い女性医師を集める検診機関があると、地道に力をつけるという意味ではあまり良くないかもしれません」と複雑な思いを吐露する。
女性のための診療を行う場が増えても、質が伴わなければ患者のニーズは満たせない。
「女性外来をきちんとやるには相当な勉強が必要です。新しい知見も出てきます。一人の女性の人生に寄り添って、一番いい方法を一緒に考えるためには専門分野だけでなく、他科の知識も必要です。医師が研さんを積んでいかなければなりません」
(2018/03/29 10:00)