一流に学ぶ 減量手術のパイオニア―笠間和典医師

 (第2回)
空手にハマった医学部時代
南米の旅で道場巡り

 群馬大学医学部に進んだ笠間和典氏。運動部に入るつもりはなかったが、幼少期から一緒に遊んでいた先輩に誘われて空手部に入った。

 「中学では柔道部で武道には興味があったんですが、やってみると面白くて、ハマりました」。練習に真剣に取り組むようになり、医学部の勉強は留年しない程度にギリギリの成績レベルをキープした。

 「今は授業も厳しいですが、当時はそういう時代でしたね。試験さえ通ればいいという感じだったので、直前に頑張る力は付いたと思います。笠間に会うなら道場へ行けといわれるくらい、空手に集中していました」

 東日本の医学生が集まる大会で優勝、群馬県の新人大会では個人優勝するなど、空手の腕を着々と上げ、5年生では主将を務めた。

 笠間氏を空手部に誘った先輩から、「夏休み期間中、ブラジルにマラリアの研究に行くので一緒に行って手伝ってほしい」と頼まれた。実はこの先輩は、後にマラリア研究の第一人者となった狩野繁之氏(国立国際医療研究センター研究所熱帯医学・マラリア研究部長)だ。

 「もともと僕は幼稚園からずっと群馬で、一度も外に出たことがないから、自分の足で立てる一番遠い所に行きたいなと思って、世界地図や地球儀を眺めていたんです」

 どうせ行くなら地球の反対側の南米に行こうと、毎月コツコツお金をためていた。研究を手伝えば、わずかだがお金ももらえると聞いて、二つ返事で行くことにした。

 「空手部の顧問にブラジルへ行くと言うと『アルゼンチンで自分の後輩が道場を開いているので、そこで練習してくるように』という話になって、さらに楽しみも増えました」

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