井樋栄二 医師 (いといえいじ)

東北大学病院

宮城県仙台市青葉区星陵町1-1

  • 整形外科
  • 科長、教授

整形外科 外科

専門

整形外科学、特に肩関節外科、骨粗鬆症

井樋栄二

井樋栄二医師は、肩関節外科、骨粗鬆症治療のエキスパートとして、第一線で活躍している。整形外科において肩関節外来を担当し、スポーツ障害や腱板断裂・関節拘縮など変性疾患や中高年に起こる肩の痛みのひとつである凍結肩(五十肩ともいわれ、中高年に起こる肩の痛みのひとつ)の診断と治療にあたっている。2012年には、日本肩関節学会の初代理事長に就任し、研究においてもこの分野を牽引する存在である。同科全体では、薬や理学療法を行う内科的治療と外科的治療の両方を実施しており、運動器疾患の予防、治療を通じて患者のQOL向上に努めている。

診療内容

つらい肩こりや肩の痛みは、ある程度の年齢ならば、多くの人が経験する症状である。この分野の治療で名医として知られるのが井樋医師である。井樋医師によると、肩こりには、本態性肩こりと症候性肩こりがあるという。前者は肩や首の周辺の筋肉が疲労し、血行が悪くなることによるもので、両肩に出現する。しばらく休んで、疲れが取れるとほとんどが軽快する。肩に負荷をかけるような動作を控える、肩を温める、肩甲骨周囲筋を鍛える、などの治療が有効である。一方、後者は、心筋梗塞など心臓の病気や、頚椎症など肩や首の病気、歯周辺の病菌、ストレスなどから発症することがある。特定の部分だけに痛みを感じ、しばらく休んでも症状は改善されない。これはその原因疾患に対する治療が必要なので、専門家の診察を受ける必要がある。
また、中高年に起こる肩の痛みのひとつである凍結肩(五十肩)は、きっかけや異常が見あたらないのに、肩関節周辺の痛みが起こる疾患だ。この凍結肩について井樋医師は「一般に自然治癒するものと認識されていますが、実際は一度発症すると元の状態に回復することが難しく、長期治療になります。患者、理学療法士、医師がしっかり情報交換をして治療にあたる必要があります」と話す。凍結肩は炎症期、拘縮期、回復期に大別される。炎症期の疼痛は9ヵ月に及ぶこともあり、安静時や動作時痛があり、夜間痛のために睡眠障害を起こすこともある。治療は鎮痛薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの内服薬を投与し、疼痛を軽減。また、注射療法を行う場合もあり、疼痛が強い場合はステロイドの関節内注射を実施する。「痛みが取れない状態で無理に動かすと症状が悪化することがあります」(井樋医師)。拘縮期には疼痛が軽減し、全方向性に関節可動域の制限が出現。症状は難治性で3~12ヵ月に及ぶ。回復期には症状が改善し、機能障害も改善するため、愁訴は減少するが、必ずしも自然治癒するとは限らない。拘縮期と回復期には、鎮痛作用を目的とした温熱療法・電気療法・超音波によるマイクロマッサージ療法などの物理療法、障害部位のマッサージ・ストレッチングにより症状の改善を図る徒手療法など、理学療法を中心とした治療が行われる。保存療法でよくならない場合には麻酔科授動術や鏡視下関節包切離術などが行われる。
その他、中高年の肩の痛みの原因となる疾患として、腱板断裂がある。腱板は肩関節の骨と筋肉をつないでいる部分だが、その腱板が裂けたり切れたりすることをいう。ここから生じる強い痛みや、腕が上がりにくいなどの症状は、薬で痛みを除去する保存療法や断裂した腱板を骨につなぐ手術が行われる。同科では積極的に低侵襲の関節鏡視下手術を行っている。さらに、腱板の中に石灰が結晶となってたまる石灰性腱炎も肩の痛みを引き起こす。初期の形成期には症状はほとんどないが、石灰が大きくなると痛みが起こるようになる。「治療としては、石灰が溶けて液状になる吸収期では液状になった石灰を注射器で吸引する方法が行われますが、石灰が固まって吸引できない場合には、関節鏡により溜まった石灰を取り除く手術が必要になります」(井樋医師)
いずれの症状や疾患であっても、放置せずに受診をして治療やアドバイスを受けることが重要となるだろう。

医師プロフィール

1980年3月 東北大学医学部 卒業
1989年9月 東北大学医学博士号取得
1990年10月 米国ミネソタ州メイヨークリニック整形外科バイオメカニクス研究員
1991年10月 米国ミネソタ州 メイヨークリニック整形外科上級研究員
1994年1月 秋田大学医学部整形外科講師
1997年10月 米国ミネソタ州メイヨークリニック整形外科バイオメカニクス客員研究員
2000年10月 秋田大学医学部整形外科助教授
2001年7月 秋田大学医学部整形外科教授
2006年6月 東北大学大学院医学系研究科整形外科分野教授