強い腹痛のときの手当て 家庭の医学

 急に強い腹痛をうったえる人を見かけたときは、まず膝屈曲位(しつくっきょくい)にして腹壁の緊張を軽くします。
 この姿勢にしただけでも、腹痛がおさまってくる場合があります。また、けっして飲み物や食べ物を与えてはいけません。
 ここで救急車を要請してください。救急車が到着するまでに、次のことを聞いてメモしておきましよう。

□腹痛の人に聞いておくこと
 1.腹痛の場所。また、いつから痛いのか。
 2.腹痛の引き金(誘因)はあるか(たとえば、暴飲暴食後の急性胃炎、脂っこい食事のあとの胆石〈たんせき〉発作、飲酒後の急性膵炎〈すいえん〉が考えられます)。
 3.排便、排ガスはあるか。血便はあるか。
 4.嘔吐(おうと)、吐血はあったか。
 5.生活状況について(精神的ストレスが多かったか)。
 6.発熱はあったか(体温をはかっておきましょう)。
 これらは、診察する際にたいへん参考になります。腹部大動脈瘤破裂や急性膵炎では、突然死する場合があります。「たかが腹痛」と考えないで、すみやかに医師の診察を受けさせてください。

(執筆・監修:社会医療法人恵生会 黒須病院 内科 河野 正樹)