くび下がり症〔くびさがりしょう〕 家庭の医学

 くびから背中にかけて背骨が前方に曲がってしまい、進行するとうつむきになってあごが胸に接触してしまい、自分の力では前を向くことができなくなってしまいます。早期に診断されれば姿勢指導やリバビリでかなり改善しますが、進行してしまうと治療が困難となります。高齢化に伴い、最近患者さんがふえています。
 前を見続けられない、次第にくびが重たくなってくる、うがいができないなどの訴えがあり、疑わしい場合には早めに整形外科医や神経内科医を受診しましょう。


[原因]
 くびの背筋が弱くなり、本来の姿勢を維持することができなくなります。診断が遅れると筋肉が線維組織に変性してしまい、治療が困難となります。
 くびの背筋が弱くなるあきらかな原因は不明ですが、頸椎の加齢変性に伴うもの、筋肉の病気、パーキンソン病などの脳の病気、神経の病気、ある種の薬の副作用などが考えられています。

[治療]
 くび下がりの状態を極力避けることが重要です。パソコンやスマートフォンの操作は制限します。うつ向き作業が続く場合には頸椎カラーを装着します。ロールタオルやストレッチポールを利用した頸椎伸展ストレッチ、背筋強化などのリハビリテーションをおこないます。変形が進行し、生活が制限された場合には変形を矯正し、金属で頸椎を固定する手術をおこなうことがあります。