みずむし(汗疱状白癬)〔みずむし(かんぽうじょうはくせん)〕

 俗に“みずむし”といっているものは、手足にできる小さな水ぶくれであって、かゆいものをすべて含めていることばなのです。単一の病名ではなく、次のように3つのものが含まれています。
 ①白癬(ほんとうのみずむし)、②湿疹(しっしん)、③汗疱が含まれています。あとの2つでは、みずむしのつけ薬をつけると、かえってわるくなるものが多いのです。
 ①の白癬の場合は、みずむしに効くことがみとめられている抗真菌薬であれば、多かれ少なかれ、軽くなるのがふつうです。
 ①②③を区別、診断するためにも顕微鏡で菌を検出する必要があります。早めに皮膚科専門医を受診してください。

 みずむしの診断には病巣から白癬菌を証明するのが確実で、見ただけでみずむしと決めると、湿疹や汗疱、あるいは掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症などとまちがうこととなります。
 それに、みずむしは手にできることもありますが、珍しいことです。そのため、みずむしを呼ぶのに“足白癬”ということばがあるほどです。

[症状]
 大きく分けて次のように3つの型があります。
1.汗疱状型
 足の裏、あるいは足縁に比較的境界鮮明な局面をつくるものをいいます。その辺縁に小さな水ぶくれが並んでいて、堤防状に固まっています。この水ぶくれの被膜から、白癬菌はたやすく証明できます。その中心部はくぼんでいて、表面には落屑(らくせつ)がついています。かゆみは強く、なかには水ぶくれが膿疱(のうほう)に変わっているものがあります。また、それが破れてジメジメしてくると、2次的に細菌感染が加わってくることがあります。

2.角質増殖型
 足の裏の角層が厚くなって、かたくなってくるものです。

3.趾間型(趾間白癬)
 足の指の間(趾間〈しかん〉)にできるもので、赤くなって落屑を伴う、乾いたかたちのものや、湿っていて、その部分の皮膚が乳白色にふやけているものもあります。場合によってはあかぎれをつくったり、ただれたりします。

 この3つのうちの1つの型だけのものもありますが、同時に2つ以上のものが併発していることも珍しくありません。
 白癬菌はカビの一つで、カビに共通の性質として、温度の高い、湿気の多いところで繁殖する特性をもっています。皮膚に寄生するときも同じで、夏になって、汗をかくとわるくなります。
 1日中靴をはいて運動したり、ナイロンの靴下をはいたり、ビニールの靴をはくと、みずむしがわるくなったり、かゆみが強くなるのはこのためです。

■白癬疹
 足にみずむしがあると、そのアレルギー性病変として、おもに手に小さな水ぶくれができてくることがあります。これを白癬疹と呼びます。それがかゆいので、みずむしとまちがえられますが、そこに白癬菌はみとめられません。これは足のみずむしを治すと自然に治ります。

[予防]
 1.手足は絶えず清潔にし、皮膚はいつも乾燥しているようにします。ことに、足趾の間の皮膚にこの注意が肝要です。風呂上がりに、足底、趾間をよくふきましょう。足指の間にすきまのない人はみずむしになりやすいのです。
 2.靴や靴下は毎日替え、はかなくていいときは、できるだけこれをぬいで風通しのよいところにおくこと。
 3.長い間、靴をはいて立って足がむれるようなときは、休憩のときこれをぬいで、足を高く上げて休むこと。こうして足を風通しよくしておきます。
 4.靴は、できるだけ軽い、通気性のよいものを選びます。ことに靴下は通気性のわるいナイロン製のものは避けます。
 5.毎年できる人では、再発する時期に朝晩、手足、ことに足指の間に抗白癬(はくせん)薬を外用します。

[治療]
 次の事項が大切です。
 1.抗白癬薬の外用がなんといっても重要です。根気よく続けましょう。角質増殖型は、爪もいっしょにおかされていることが多く、治りにくいため、内服治療をすることもあります。
 2.みずむしは治りにくいため、数しれないほどの治療薬が販売されています。しかし、どれひとつをとっても、それだけで治せるものではなく、同時にいろいろな手当てを加えることが大切です。はじめから専門医の知識が必要であることを、よくわきまえることです。
 3.しろうと療法はみずむしを治りにくくします。専門医を受診して治療してください。

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